13
そのままの穏やかな雰囲気のまんまで俺は家に帰りたかった。
そしたら俺も先輩もいい気分のまま、仲よしな先輩後輩関係を築く一歩を踏み出して終わったのだろう。
だが、どうやらそんなに甘くはいかないようだ。
「だから、嫌ですって」
「お前運動神経よさそうだからさー、いいじゃん」
「身長的に無理です」
「そりゃチビだけど」
身長を理由に断ろうと言った俺も俺だけどそんな肯定しなくてもいいと思う。
さて、何故こうなっているのかというと俺の「先輩は何の部活入ってるんですか」が原因だった。
手に持っているポスターがヒラヒラと風に靡いていたので多少気になった俺は馬鹿だ。
で、結局先輩はバスケ部に入っているらしく例に漏れず新入生の勧誘に行くところだったらしい。
そしてこれ幸いとまさかの俺に部活入らないかとのお誘いが。
「とにかく、部活に入る気はありません」
「まーそう言わずに行こうぜー。さぁLet's Go!!」
綺麗な発音に思わず頭痛がしたのは仕方がない。
引き摺られる様に連れて行かれた先は体育館。
他にも俺と同じ新入生がバスケ部について説明を受けていた。
「ほらほら、時雨も早くあそこ行けよー」
そして先輩はUターン。
え、部活していけよ。
そう思って思わずシャツを引っ張る。
「うぉっと…どした?」
「どこ行くんですか?」
「家帰るの」
「は?」
思わず聞き返したのは仕方ない。
何コイツ、もしかして一人は連れてこないと帰れないとかで俺を生贄にした感じ?
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