5



彼の最後の言葉を鼻で笑う。
すると、遂にシビレが切れたのか殴りかかってくる。
だけど、慌てなくても大丈夫。

相手の拳をを軽く受け止めて無効化した。
合気道の技だったかなぁ?これは。
いろいろやってたからどれがどの武道の技か全く覚えてない。

あ、空手とかでスポ根の小説書こうかな。
今までなんで思いつかなかったんだろう。

相手の勢いをそのままに首筋に手刀を落としもう一人は手首をつかみ仰向けに倒す。

久しぶりに人を倒したせいか肩が痛い。
もう歳かな。


「お兄さんたち、一緒に警察行く?でも俺帰りたいから、今さっさとどっかいけばもういいよ?」

そうだ、今猛烈にチョコが食べたい気分なんだよ。
コンビニだからいつまでも空いているけど寒いし、帰りたい。
うん、なんでもいいから帰りたい。

その後は無言でそのまま背を向けると相手は必死に足を動かし走っていく音が聞こえる。
ざまぁみろ、だなんて悪役っぽく心の中で思いながら聞いていた。


帰る方向へ足を向けようとしたとき、ふと手に何も持っていなかったことに気づく。
俺、漫画と小説買ったよ?

そう思って、勢いよく後ろを振り向くと目の前に本屋の袋が。

「はい、お前凄いな」

なんて、見たことあるような無い様な人に手渡される。
攻撃されるのと同時に投げ出した本をキャッチしてくれたらしい、良い人だ。

この人俺の本買ってくれた人だ。
すっげーチャラそうな顔してる。

それだけ思い出して思考を閉ざす。

「どーも」

ほら、俺良い子だからちゃんと目を合わせながら返事するの。
てかこの人身長高いから目を合わせていると首が疲れる。

チャラ男(表現的に古いかな?)は小さく笑ってじゃ、と手を振って背中を向けた。
俺もそれ以上興味がなくて反対方向に体を動かす。
周りももう誰も足を止めていなかった。


よし、何のお菓子買おうかな?
運動したから甘いのが食べたい気分だ。



[前へ 目次 次へ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -