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そろそろ時間が迫ってきたのでパソコンの電源を落とし、洗面所へと向かう。
ついでにトイレもすませてしまう。
なんだかそれだけでもう疲れてしまったのだが、学校へ行けば先輩に会える。
思わず零れた笑みに、気を引き締める様に頬を叩くと着替えの為にまた部屋へ戻った。
「グッドモーニング!マイハニー!!」
「・・・・え」
ん?どうゆうことだコレは。
何故先輩が俺の部屋に居る?
「あの、先輩、えと・・・おはようございます」
「おはよ。時雨に早く会いたくて来ちゃった」
「来ちゃったって・・・あの、」
こんがらがって一度頭を整理しよう。
そう思ってるのに、何故キスをする、やめてくれ。
「おはようのちゅーは大事だよねー」
「・・・そーですか」
「アレ?時雨、俺のこと好きじゃないの?」
「・・・・好き」
「へへー、良く出来ましたー!」
頭を撫でられながらイイ子イイ子と言われ、なんだか複雑。
本当にどうしてこんな人を好きになってしまったのか。
なんて言いながら結局好きなものは好きだから仕方がない。
恋愛なんてものは、頭で考えてどうこう出来るものじゃない。
だから人は悩むし、時には喜び悲しむ。
そして乗り越えた先に愛しい人と笑いあえるのならば、それでいい。
幸せだ。
「とりあえず着替えるんで出てってください」
「えー、なんでー?時雨の生脚ー!腹筋ー!鎖骨ー!」
「ちょ、触るなっ!」
「・・・ダメ?」
「駄目ですっ!」
なんだ、甘えた目でこっちを見ないで。
本当に恋って盲目なのか、許してしまいそうになる、ダメだぞ自分。
「まぁいいよ?いずれ全部見せて貰うし、ね?」
「・・・・・・っ」
ふいに耳の傍で、いつもの間延びした喋り方ではなく、低めの声で囁かれる。
背筋がぞくりとして、思わず耳を押さえる。
「っ、っ!」
なんでこんなに色気があるんだ、この男!
些か涙目になりながら睨めつけると、笑いながらキスしてくる。
もう、きっとどうしたって先輩に勝てないかもしれない。
今までで一度も勝てたことなどないけど。
「好きだよ、逃がさないからね?」
更なる追撃とばかりに耳元に沢山の口付けが施される。
その間に、そんなこと言われて体の力が抜けそうだ。
なんとか自力で立っているものの、最後に優しく重ねられる唇。
「じゃぁ、下で待ってるよ?」
長い口付けが終わり身体が離れると、先輩はこちらを見向きもせずに去っていく。
だけど、俺は見た。
その唇が弧を描いていることを。
「・・・俺、なんて人を好きになったんだろ」
でも、後悔なんてしない。
これを恋と呼ぶのだろうから。
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