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まだまだ昼間は蒸し暑いとはいえ、夕方からは冷たい風が吹く。
開けっ放しの体育館の扉からの風は火照った体にはとても気持ちがいい。
それでもシュート練習は未だ終わらずに、もう腕を上げるので肩が痛いぐらいだ。
もう疲れた、帰りたい。
練習の後半から終わりにかけて訪れる鬱な気分を断ち切るように笛が鳴る。
「今日の練習はこれで終わり!速やかに片づけな」
「「はい」」
新主将の言葉に、ボールを籠に入れてようやく一息。
扉のとこ行って涼みたい、けど一年だし目つけられたら面倒だ。
いや、先輩の所為でなんやかんや目立ってしまってたけど。
先輩がいなくなったら、ただの一年生だ。
その後ミーティングが終わって解散。
着替え終わり、近くにいた先輩方に挨拶をしてから帰宅。
ああ、そうだ。
忘れちゃいけない。
先輩は、どこにいる?
図書館で勉強しているはずだし、行ってみようか。
あまり図書館を利用したことが無いので閉館時間とかわからないんだよなぁ。
でも普通部活が終わると同時ぐらいの時間に閉まる気もする。
校舎のすぐ傍に建つ図書館へと向かう。
すると上の階から徐々に明かりが消されていくのが見える。
ちなみに図書館は3階建だ。
目を凝らして先輩が居るか透明な図書館の扉から中を覗き込んでいると、どうやらナイスなタイミングだったらしく、ちょうど目の前から先輩が出てきた。
「・・・時雨?」
「先輩!お疲れ様です」
「そっちこそお疲れー。帰ろっか」
「はい」
今、チャンスだろうか。
でも校舎閉めるし学校からは早く出なければいけない。
既に心臓はドキドキと高鳴っている。
これから、俺は先輩に告白をする。
そして俺と先輩の縁は途切れてしまうのか。
気持ち悪いだろうか。
ただの後輩が、いきなり告白してくるなんて。
このまま何も言わなければ先輩と後輩の関係として細いながらも繋がりはあるかも。
だけどここで俺が告白なんてしたら。
何が心を決めただ、意気地なし。
自分が、無性に嫌になる。
せっかく香苗さんが応援してくれたのに。
「時雨?なんか朝から変だよ?」
「そんなこと無いですよ」
「いやいやそんなことがー、あるのっ!」
「何急にかわいこぶってるんですか」
「えー、俺可愛くない?」
「男相手にどう言えばいいんですか」
「俺は時雨可愛いって思ってるけどね」
心臓に悪いぞ。
今本気で胸が痛すぎる。
こうやっていちいち振り回されて、どうやって切り出せばいいんだ。
また俯いて考え込むと先輩に不審に思われるだろうし。
ならサクッと言って逃げるか。
いやいや、それは流石にダメか。
どうしよう。
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