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あぁ、煩い。
最初は適当に謝ってさっさと帰ろうと思ったのだ。

でも

煩い餓鬼の髪の毛の色をどう表現しようか。

薄暗い銀色。
まるで泥に塗れたようだ。

鈍く明るい赤。
まるで錆びた銅のようだ。

そして、何て醜い表情をしているのだろうか。
己が王様だと勝手に信じ込んでいる愚かで、ある意味無垢な瞳。

親は子供の言うことをたくさん聞いてきたのだろう。
その結果がこれだというのに、いざ息子が常識知らずの行動をすれば
「こんな子ではない」「きっと友人にそそのかされて」だなんて、息子が起こした行動という一つの事実ではなく、
きっとたぶんそうかもしれないだなんて期待を口にする。

井の中の蛙大海を知らず

こんな言葉が思い浮かぶのは、彼らにあてはまりすぎるからだ。
家庭という名の、彼等が唯一王様になれる狭い空間が彼らの生きる全て。
だから、そこしか知らない彼らは外でもそれが通じると思っているのだ。

あぁ、馬鹿らしい。
こんな馬鹿によくここまで考えることができたな、俺。

とにかく、全てをまとめて言うと彼らの内面の愚かさが外面にも滲み出て汚らわしいということだ。
そして適当にでも謝る気は完全に失せた。



「煩い、黙って」

おっと、つい本音が出た。
コイツ等のあまりにも煩い声に口から勝手に出てきても仕方ないよ、うん。

「・・・・・何?お前」

泥の野郎が笑いをやめ、その後胡散臭い笑みを作って問いかけてくる。

何って、通りすがりの通行人Aです。
外の風が寒すぎるので物凄く早く家に帰りたいです。

「何って…あんた等に押されて倒れそうになった通行人Aですね」

「ふざけてんじゃねぇよ!!」

やっぱり、雑魚は沸点がかなり低いらしい。
そんなんじゃ早死にするよ。
俺がいつか書いたサスペンス物語で一番最初に死んだ奴にそっくりだ。
ちなみにそいつは自意識過剰で強がりな屑だ。


「おい、目立ってるから裏にでも行こうぜ?」

もう一人の錆びの奴がニヤニヤしながら呼びかける。
どうせ、人呼んでボコそうとするだけだろ?

俺もそこまで冷たい人間じゃないから関係ないこの二人以外の人は殴りたくない。
呼ばれたからと言って殴られるのは誰だっていやだと思う。
まぁコイツ等の仲間は暴力しかできない、本能にしか従えない知能の低い奴らの集まりだと思うけれど。


「なんで?俺早く家に帰りたい」

「っ…生意気、だね」

「だから?あんた偉いの?」

落ち着こうとしてはいるんだろうが顔がそれを思いっきり裏切っている。
でも、その努力は認めよう。

「雑魚が調子にのんじゃねぇよ!!」

何処までもよくあるセリフを言う。

内面が汚くても、まだ言語能力がきちんとあったら良かったのにね。




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