ネタバレ | ナノ


【紅舞】1章

夏休み、主人公の太一は家族とワイワイ楽しく過ごしていた。姉の京子は普段うるさいが根は優しい性格で、両親も仲睦まじく、賑やかな家庭だった。
そんなある日、山へ遊びに行った太一は迷子になってしまう。日も暮れそうな中、太一は謎の祠を見付け、そこで怜癒という自称神様に出会う。

いろいろと会話があった後、怜癒は太一にまたここに来る事を約束させ、太一を家に帰した。
無事に家に帰る事が出来た太一だったが、家ではとんでもない異変が起きていた………!

つづく

A
家に帰ると、なんと母が父の目の前で泣いているではないか。側に居る京子も真顔で固まっているし、(浮気か…?)と思いつつ状況を聞いてみると、なんと父は突然、綺麗さっぱりと母の事を忘れてしまったようである。

あんなに仲のよかった両親に何が起きたのか、家庭崩壊の危機を感じた太一は解決の為動き出す。
その日の夜中、急に目覚めた太一は金縛りに遭い、そこで部屋の隅からこちらを見てニタニタ笑っている女の影を視てしまう。太一は恐怖の最中怜癒の存在を思い出し、翌朝怜癒に会うため再び山へ…

つづく

B
再び会う事になった太一と怜癒。太一は怜癒に状況を説明し、助言を求めた。そして暫く悩んだ後、怜癒は太一にお守りとして何処からか刀を出してきた。
「この刀はそなたらを守ってくれるが、決して抜く事は許さぬ」
「父君の記憶については、妾が何か策を講じてみよう。何かあったらまた来い」

家に帰ると、太一と京子は母の玲子に呼ばれ話を聞く事になった。母は父の事を深く愛しており、このまま少しずつ思い出していけばいいと語った。太一も京子もその考えに賛同し、一家は再び一つになろうとしていた…

つづく

C
「…というわけなので、私達はお父さんの記憶を一緒に取り戻していこうと思います」
その晩、家族会議を開き、玲子と子供達は父の太郎にこれからも家族である事を宣言した。太郎は感動し、自身も忘れた記憶を思い出すため頑張る事を決意した。

夜中、太一はまたしても昨夜と同じように女の影を見てしまう。女は太郎の枕元に座り込み、ニタニタと笑いながら太郎から何か気のようなものを盗み取っていた。
父の記憶が無いのはこの女の仕業だ…!と確信した太一だったが、その事を女に気付かれてしまい、女は太一に襲い掛かってきた…!

つづく

D
太一は刀を持って慌てて逃げたが、そのタイミングで京子も起こしてしまい、二人で逃げる事になった。何とか外に出て走るが、まだ女は追い掛けてくる。
そして鈍臭い京子は途中で転んでしまう。絶対絶命の大ピンチ、太一は京子に刀を投げつける………!

瞬間、京子は目にも止まらぬ速さで刀を抜き、強い風が巻き起こる。普段と違う姿に変化した京子は刀を振り上げ、そのまま襲い掛かってくる女の影を真っ二つに切り裂いた。
女は砂のように消え、中からは光輝く気体が現れる。それは二人の家の方角へ風に乗り運ばれていった…

つづく

E
危機から解放された太一と京子。京子は太一の方を振り向こうとするが、倒れ込み眠ってしまう。先程までの一連の変化に驚く太一だったが、今は父の記憶が戻っている事を確認するため、京子をおぶり家路を急いだ。

一方、家では太郎が気持ちよく眠っていた。そこへ開いた窓から物凄い強風が家に入り込んできた。
暖かくどこか懐かしいその風は、太郎の中の大事な記憶を呼び覚ます…

(そうだ…玲子と出会ったのは…)

太郎の記憶として太玲編が入ります

つづく

F
全ての記憶を取り戻した太郎。頬に冷たさを感じ、目を開けると側で玲子が涙を流していた。太郎は慌てて起き上がり、玲子を抱き締めた。
「太郎くん…私の事が分かるの…?」
「玲子…すまなかった」

二人は安堵し、これから何が起きても家族であることを再び誓い合った。

その頃、何とか家に着いた太一は、両親にバレないようにこっそり部屋に戻っていた。そして別室で両親がお互い笑い合っている様子を見届け、また布団に入って寝た。

事件は解決したが、まだまだ残る疑問を解消するため、太一は翌朝再び怜癒の元へ向かう事になる…

つづく(一章完)

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