新旧部長会議






屋上におった男はいわずもがな、部長やった。

俺がサボリに来たって把握した部長に屋上へと引っ張られて愚痴大会になってもうた。
逃げようとしたんやんけど、部長が許すわけ無いやん。


「ほんで、どないしたんすか?」
「なんか俺、おかしない?」

は?

「なんか最近おかしいねん。」
「具体的には?」
「女を見る目が変わったっちゅーか…」
「恋っスか」
「ちゃうわボケ」
「…ならなんでそないに悩んではるんですか。恋やん、それ」
「…俺な、女なんて信じられへん、簡単に嘘つくし態度コロコロ変えるしウンザリやって思っとったんに…」

部長は壁に頭を押し付けて空を見上げた。ゴォォォ…と白線を引きながら飛ぶ飛行機が幼少時の暑い夏の日を懐かしく彷彿とさせる。
夕焼けでもないのに空を見上げるその表情だけで酷く切なくなった。
こういうんを青春て言うんやろか…

「もう女なんて信じないって、思っとったんに…やのに…気付いたら追いかけてるんや…」
「…………」
「でもさっき告白されて、やっぱり女は苦手やって再認識した。」
「……部長が追っかけた子はそのへんのやつと一緒にせぇへんであげて欲しいっスわ」
「なんで?」
「ちゃうんやろ?他の子と。やから部長は惹かれてるんやろ?」

部長は黙って俯いた。

「違うのに一緒にされたら嫌やないスか」


「せやな、もう少し考えてみるわ。…財前は好きな子おらんの?」
「いきなり何スか」
「最近喜怒哀楽がな、こう…」

喜怒哀楽…?
俺はいつものポーカーフェイスやと思ってんねんけど…

「好き…?」
「おん(まさかこいつ気付いとらんとか言う?)」
「1人虐めてやりたくてしゃーないやつなら居りますけどそういう感情や無いですわ。」
「ほんまに?」
「?はい」

ふと空を見上げるとさっきまで真っ直ぐ伸びていた白線がぐにゃりと大きく歪んでいた。



「……早よ部活したいっスわ」
「せやなぁ……」



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