知れば知るほど分からなくなる







一氏ごめん、今日部活行けへんわ。
そうメールを打ち込んで隣に座る華ちゃんを見やる。

「何で他の人は嫌いでウチはええのん?」
『みんなと違うから』

一緒やと思う、むしろ模範的な生徒やと自分でも思う。校則だってちゃんと守っているし、テストや授業もサボったことがない。

『金色くん、今部活サボってる。』

あ、とウチから小さく声が洩れた。

『掃除もその後のホームルームも。だからここに居るんでしょ?』

ホラ、みんなと違うじゃない。そう言った彼女は嬉しそうに微笑んでまた、膝に顎を埋めた。

そんな事を言ってしまったら誰かがいつもと違う行動をとっただけで彼女はその人の事を好きになってしまうんじゃないだろうか?そもそも、その好き、というのはどんな感情なのだろうか?友達として?それとも異性として?
考え始めればキリがない。
じゃあウチは彼女の事をどう思っているのだろうか?そもそも、何故ここまで彼女に固執するのだろうか。

『金色君?』
「あ、堪忍。」

難しい顔をしていたのかウチの顔を華ちゃんは覗いてきた。
それにしても、無口な彼女が今日はよく喋る。なんだか彼女と会話をしていると不思議な気分になるのだ。深い深い果ての無い鬱蒼とした森へと引き込まれて行くような、不思議な感覚。
もう少し、この森にいてもいいだろうか。最近は生徒会も忙しく、根を詰めていたし部活も部活でいつも通りハードで少々疲れが溜まっている。
金色君疲れてるんだね、と呟いた彼女の優しい声色に眠気がさす。ああ、だめだ、目蓋が、重い


『おやすみ、金色君』




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