小春と帰らなかったユウジ
昨日家に帰ったのは夜遅く。帰り道が心配だから毒之を家まで送ってやるって言ったけど案の定拒否された。
まぁ、無理矢理に送ったけれども。
だからその送る、いらない、のやり取りが長くて1時間弱。そのあとの帰り道でまた時間をとられて時計の針は11時くらいを指していた気がする。
そんなこんなでいつもより眠気が酷い。
あっという間に放課後になり部活。といっても酷い土砂降りなので体育館を借りて、だが。
今日はオサムちゃんが部活に来とって一年生達に指導ばしとった。
鬱憤とか溜まってる白石や謙也、財前とかユウジもみんな揃ってオサムちゃんを弄っとった。ばってん、オサムちゃんは半泣きだった。
その日俺は小春と一緒に帰らなかったユウジに相談があるから残ってくれと頼まれた。
まぁ、用事も無いからよかけん、でも何で俺なんやろ?
部活後の教室にユウジが来た。わざわざ俺のクラスまで来てどんな相談なのかと少し緊張気味に話を切り出した。
「で、相談ってなんね?」
「おん、・・・千歳は、マネの事どう思う?」
はい?マネージャー?
あ、あれか、恋話?
「普通やね、よく働いてくれるしいっつもにこにこしとってよか子やと思う」
「他になんか様子がおかしいとか思わへん?」
様子がおかしい?
「・・・なんかあったと?」
「ほんまに何も知らんの?」
ユウジが少し泣きそうになる。
小春にちょっかいを出すやつを睨むようないつものあのしかめっ面のまま、少し泣きそうで、そんなユウジを見るのは初めてだった。
「噂とか、そういうんもなんも?」
ユウジは俺を睨む。そんなに睨まれたって困る。だって本当に知らないから。
それに最近は周りの人間やマネの事を考えるよりも毒之の事を考える事の方が多くなっていて人間関係の情報には疎い。
元々そういった情報に自分から首を突っ込むわけでもないから余計の事。
たまにクラスメイトや親しい友人が話しているのを聞くぐらい。
「なんか、あったとね?」