ちょっと心配しただけや




今日の部活は人が少なかったように感じた。
銀は病院、小春はサボリ。
レギュラーでおったのは俺と財前と白石と謙也と千歳。
ああ、金太郎もか。

最初っからおったのは俺と財前と金太郎。
白石と謙也と千歳はなんや教室でしとったみたいやわ。

今日の謙也はいつも以上にヘタレや。好きな子思い出してにやついとる。
白石は白石で(あ、今俺の相手してもろてんやけど、乱打な?)なんやいつもより球が荒い。
財前はなんや謙也に八つ当たりしとるし。

ほんで、今俺が一番心配な毒之。ふらふらしとるわ…
昼間のアレはそうとうあかんかったみたいやな…眉間にシワが寄ってるし。
それでもレギュラーの前では笑顔を絶やさずタオルやドリンクを差し出しとる。
フェンス越しに睨んだりしとる醜い女共に比べたら毒之の方がよっぽどええと思う。

白石や千歳、財前が打つ度に黄色い声援が気色悪い。白石もイライラしとるみたいやし。(珍しいな…)


『一氏君、タオル使う?』
「おん、さんきゅ。」
『ドリンクもあるよ?飲む?』
「おん…」
『はい、頑張ってね』


笑顔で言う毒之に頑張るのはお前やろ。
その言葉が喉の奥まで出かけたがやめた。


「あんま無理したらアカンで」
『えっ…』


俺は彼女に聞こえるか聞こえないかの声で呟いてコートへと戻った。
毒之は暫く、放心して俺から受け取った汗まみれのタオルを握り締めて突っ立っていた。


俺は次の試合形式の練習のためコートに駆け足で入っていった。
ああ、フェンス越しの女剥き出しのヤツらがウザい。
邪魔や邪魔。





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