不明行動


毒之?


今日は朝から毒之の姿を見ていない。正確にいえば朝の出席から見ていない。ホームルームが始まる前はいたのに…裏山にはいないようだから、校舎のどこかに居るはずなのだが…
校舎内にも見当たらないので普段行かない街の方に行ってみた。
ゲーセンとか心当たりのある場所には全て足を運んだ。
けれどそのどこにも彼女はおらず口から溜め息が零れた。
そもそも、何故俺は毒之を探していたんだろうか。そっちのほうが謎である。

「俺は何がしたいとね…」
昼の賑わいではなく夕方独特の雰囲気で賑わい始める街に踵を返し学校の方へと歩を進める。

その途中、一匹の野良猫が俺の足にすり寄ってきた。
随分と人になれた猫やね…猫を抱き上げ近くにあったベンチに腰掛けて撫でてやるとこいつ、俺ん足が気に入ったんか寝てしまったばい。

俺も少し眠くなってきて猫を抱きながら寝た。


ふにふに


頬に触る感触が気になって目を開けた。
目の前には誰もいない。気付けばもうあたりは真っ暗で抱いとった猫も居らんかった。

『なーにこんなとこで寝てんだよー』

後ろから聞こえた声に振り返るとそこにはいたずらっ子みたいな顔した毒之がいた。寝ぼけた頭を起こして意識を覚醒させる。

「ん、毒之…?」

おはよ。満面の笑みで俺に話しかける彼女は俺の後ろから隣へ移動した。

「なんばしよっと?」
『星綺麗だなー。』
「今何時?」
『そうねだいたいね』
「古…」
『ただいまの時刻はPM9時37分でございます。』
「ふぁあ…何時間も寝てたとね…」
『なにしてたんだよ』

ばーかって笑いながら足をぶらぶらさせる毒之。

「何がしたかったんやろね…自分で自分が分からんばい…」

ふーんと興味無さげに背にもたれて星空を見上げる毒之を見習って同じポーズをとる。

ほなこつ星が綺麗たい…

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