ある雨の日の



ある雨の日、彼女は橋に立っていた。
カサもささずにただボーっと。
何してるん?って聞いても答えんでただ雨に濡れとった。
長い髪と顔を隠すように伸ばされた前髪は世界を拒絶している様で、ぽたぽたと髪の先から滴り落ちる滴を見て自分の持っていたカサの中に彼女も入れた。
長い前髪で目は見えないが、多分川を見つめている。
川はごうごうと唸りをあげて質量を増した水が下へ下へと流れている。
されるがままに浮いている枯れ葉やゴミ等が自分に似ているようで嫌だった。
今日は他の先生にあーだのこーだの言われたりテニス部員にからかわれたりと、苛々していた。(ほんまあいつらいつかしばく。)帰ったらたばこを吸いながらビール。そう思ってコンビニから買ったビールとつまみとたばこ一箱の入ったビニール袋は彼女の方に寄せたカサのおかげで既にびしょ濡れだろう。
ふと彼女の足元を見れば靴を履いていなかった。
何故?靴下が泥で黒ずみびしょびしょになっている。哀れな靴下だ…。



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