私は大阪の高校に通ってる二年生のなまえや。
家の事情で一人暮らししてんねんけど、っていうか両親ともどっか出て行って、好きなようにしろって毎月生活費込みのお金が入ってくる通帳手渡されたんよ。
まぁ、親あんまり好きや無いからむしろスッキリしてんねんけどな。
ここに住んでるんはうち以外はあれ、ミニチュアダックスフンドの'ココア'がおるだけ。
今日は雨。最悪や・・・。
「おはよう!」
『おはよう!』
「雨やばいんやけどー、濡れたしーもう最悪やわー!」
『傘さしてても濡れるもんねー。』
友人と会話をしていると丁度チャイムが鳴った。
毎週繰り返される同じ時間割をこなし、部活に行った。
「おっ!今日もきたなーなまえ!」
『部活に来たらあかんのかい!』
「いや普通にええけど」
『今日は昨日残したスケッチ終わらせようかなー』
私は美術部に所属していてコンクールなんかでも賞をもらったりしている。
トクベツとは思わないしこれがいいとか私にはよく分からない。
するといきなり美術室のドアが音をたてて開いた。
そこに立っていたのはジャージの色からして同学年のカッコいいといえばカッコイイという感じの男子だった。
「あー、みょうじさんおる?」
『私ですけど何か用ですか?』
「ちょっと話あんねんけどええ?」
『ええですよ?』
隣で一緒にスケッチしていた友人に頑張れよと言われたが何のことかさっぱり分からんかった。
もしかして知らん間になんか悪い事したやろか・・・
廊下でいきなり付き合ってくれへん?と顔を真っ赤にしてに言われて困った。今からこの雨の中何処に付き合えというのだ?
『ええけど今日はだめやで?こんな雨の中何処に行く気なん?』
「え、あー・・・(意味が違うねんけど・・・)」
目の前の男子は気まずそうな顔をしてやっぱりええわ、ごめん。とどこかへ走っていった。
よく分からず美術室に戻ると友人にその顔はまたやらかしたな。といわれた。
聞いただけやのに・・・と呟いたら溜息を吐かれた。
あ、雨ヤバイ。
『私そろそろ帰るわ。雨酷いし。』
「気ぃつけてや?」
『おん、またなー』
「明日なー」
私はスケッチを片付けてカバンを背負って学校を出た。
今日の夕飯はカレーにしようかな〜♪
なんて鼻歌まじりに食材を選び会計を済ませたその帰り道。
『あ、ねこちゃんやん。』
道路の隅でぷるぷる震えるミルクティー色の猫が此方を見ていた。
『・・・・・・そんな所でどうしたん、ねこちゃん。あれ、怪我しとるん?』
"にゃーにゃー"
『うーん・・・犬と喧嘩しないかな・・・』
"にゃー"
『体育の時使ったからちょっと汗臭いかも知れんけど許してな?』
カバンからスポーツタオルを引っ張り出しねこちゃんを包んで家に帰る。
『ただいま、ココアー。たのむから喧嘩だけは堪忍な?』
"くーん・・・"
『ええ子やなー、ちょっとねこちゃんお風呂入れてくるからまっとって?』
"にゃーにゃーにゃ"
にゃーにゃー鳴く無駄に人に慣れてるねこちゃんをお風呂に入れて私は夕飯の準備に取り掛かった
100330*紅羽