ほんまにすまん!と彼、忍足謙也は頭を下げた。
彼はいきなり角から飛び出して私とぶつかった。飛び出した理由を聞いたらなんとも情けなかった。
なんだ、子供に追い掛け回されてたって・・・

"じー・・・"

さっきから視界に入れないようにしていたが限界にきてしまった。そういえばずっといるな・・・

塀の角から頭だけ出してこちらの様子を伺っている犬。シベリアンハスキーと何かを掛け合わせたミックスのような外見で中型犬と大型犬の間のような大きさである。
犬の視線と土下座をする勢いで頭を下げている彼に耐えかねた私は思い切って彼、忍足謙也くんに犬の事を聞いてみた。

『あのさ、その・・・角にいる犬って忍足くんの犬なん?さっきからずっとこっち見てんねんけど・・・』
「犬?」

謙也君が振り返ると犬はギクっ!!という効果音が似合うように頭を引っ込めた。
直後、忍足君が「ユウジー!!!!」と叫んだ。

"わんわん!!(こら、離せや・・・!!)"
「ユウジー!!置いていかれたんかと思ったでー!!」
"わんわんわん!バゥ!!(うっさいわどっか行けや!しね!)"

ガブッ――

「あだだだだだだだ!!!ユウジなにすんねん!!!」


どうやら噛み癖のある犬らしい。もしくは忍足くんが酷く嫌われているかのどっちかだが・・・
それにしても目元がきりっとした犬だなぁ・・・うちのココアは可愛いけど、この犬はなんちゅーかかっこええなぁ

とりあえずこの時点で二人仲良く怪我人になってしまったので傷の手当をするため家へ行く事にした。


犬、喧嘩せぇへんやろか・・・










100603*紅羽
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -