ここまで来れば分かるから、と林檎姫と公園で別れた。
私は手渡されたipodを手に、イヤホンから流れる音楽に気分はノリノリやった。


"みゃぁ"


『・・・?』

振り向くとそこにはいつか見たグリーンアイの猫ちゃんがおった。

『猫ちゃんも聞く?』

猫なのに聞くわけ無いと思っていてもつい、布教したくなってしまう。
イヤホンの片方を猫ちゃんに近づけるとピョンと私の膝に乗ってきた。
甘えとは違うどこかツンとした雰囲気に少しばかり寂しさを感じるが私はイヤホンを猫ちゃんの耳に近づけた。

『ええ曲やろー?』

"なーお・・・"


ほんまにこの猫ちゃん別嬪さんやな、手足もシュってしとってほんまスタイルええし。
グリーンアイが綺麗やな・・・

まるで、絵に描いたような別嬪さんな猫ちゃんで思わず見入ってしまう。
じっと見つめていると不快に思ったのか猫ちゃんはどこかへ行ってしまった。
曲が気に入らなかったんかな・・・?

少し残っていたジュースを飲み干して、自転車に跨る。少し大通りから外れた住宅街を進むと犬の鳴き声がキャンキャンワンワン。そして子供達の楽しそうな笑い声。
何?不思議に思って自転車から降り、声が聞こえた方の角をそっと覗くとキャンキャンと泣き声が聞こえた。
聞こえた、と思ったら目の前には黄金、とまではいかない少しくすんだ色が見えた。

ガッシャーン・・と、自転車と飛び込んできた何かとアスファルトとこんにちは。


『いっだだだだだ・・・』

「っつぅー!!!」

"わんわんわん!!・・・わん・・・(おい謙也!何しとん・・・ねん・・・)"


「あれ、ヘタレの犬どこ行ったんやろー!?」
「逃げたんとちゃうー?」
「ほなもう一周しながら探そやー!」

いこいこーと子供達はどこかへ行ってしまった。あー、空が青いなぁー・・・あっちこち痛いけど・・・

キキーと車のブレーキ音がしてハッとした。ここは道路だ。ひかれる・・・!?
動こうとして半身を起こすと知らない誰かが私の上に馬乗りになっとった。どうりで重いと・・・

私の上に馬乗りになっている彼と目線があったとき頭上から声が聞こえた。

「兄ちゃんら若いなーこんな夕方から。せやけどそこ邪魔になるさかい他所でヤってや?」

優しい口調ではあったが明らかに棘があった。痛い・・・痛いぞオジサン・・・









100527*紅羽
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