一緒に帰ろう


ザーザーと止むことを知らない雨にひとつ溜息を零しながらも上を見る。
今日に限って傘を忘れてきてしまった私は玄関で雨が止むのを待っていた。
他の生徒は雨の所為で部活が出来ないのか、ほとんどの人が下校してしまっている。

もう一度溜息を零す。



「なんじゃ?おまえさんも傘持っとらんのか?」


『ぅお!?・・・仁王くん。』


突然後ろから話しかけてきたのは同じクラスの仁王雅治くん。
話す程度には仲がいいと思われるが・・・そこまでってわけでもない。



『あれ?仁王くんって確か部活入ってたよね?』



いいの行かなくて?と聞こうとしたが、仁王くんの視線が外にあったのに気づきやめといた。



「この雨じゃ、部活はできんよ。」


『そ、だよね。』



なんか話が弾まない。
話すのは・・・得意ではない私にとってこんなに気まずくなるのは勘弁してほしい。



「・・・林檎姫、は【ゴロゴロ】・・・。」


『へ?』



仁王君が何か話しかけてくれたのは分かる。
でも、雷に邪魔された所為で何を言ったのか分からなかった。



「・・・」


『・・・』



また、お互いの間に流れる微妙な沈黙。
もう、一刻も早くここから立ち去りたいと思い晴れることを願う。



「あの・・・な、さっきのコトなんじゃが・・・」


『へ?ぅ、ゥン?』


「・・・やっぱりなんでもない。」


『は?ぃや、気になるじゃん!』



この時、初めてだった。
仁王君の顔を真正面から見たのは。
すごく顔が整ってて、はっきり言ってかっこいい。



「・・・なんじゃ、そんなに見つめられると照れる」


『ぇ?あッ、ごめっ』


「・・・プリッ」



目をそらし、外を見てみるとさっきの雨が嘘のように晴れていた。
おまけに綺麗なアーチを描くように虹まで出ていた。



「なぁ、」


『?』



さっきまで隣にいた仁王君が立ち上がり、目の前に手を差し伸べてくる。



「一緒に帰らんか?」


『・・・!!』







一緒に帰ろう
(会話はないけど)
(繋いだ手から色々伝わってくる)

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -