『けーんーやー』
「どしたん?」
うーと俺の腕に絡みつく彼女の名前がなんやめっちゃかわええ
いきなりどうしたんやろうか
『おんぶして』
「は、」
『だからおんぶ』
「自分、今歳幾つやったっけ?」
『謙也よりいっこお姉さんや!』
「お姉さんなんは俺が早生まれやからやろ。ってちゃうわ!そのお姉さんがいきなりおんぶてなんやねんおんぶて。」
『…だめなん?』
「そそ、そうやないけど!泣くなや!」
『泣いてへんし!なぁー、帰り道おんぶしてー』
「しゃ、しゃあなしやな!仕方あらへんわ」
『ほんま!?おおきに!謙也大好きや!』
現金なやっちゃと思いながらホラ、と屈んで背中を向けると嬉しそうに乗ってきよった。かわええ。
「ほな帰るで」
『おん♪』
俺かて運動部、テニスやってんねん。女の子一人の体重も支えられんとかそんなヤワやない。
『謙也の良い匂いー』
「変態っぽいで?」
『うっさいわ!でも、謙也の背中…』
「な、なななんや」
『めっちゃ落ち着く…』
「は、はぁ?意味分からんわ、どこが落ち着くん?」
『謙也の背中、温かくて広くて、優しくて良い匂い』
「最後のなければ最高やったわ」
『えへへ、』
急に名前がぎゅう、てゼロ距離になったから背中に柔らかい感触がした。ヤバい、ヤバい、めっちゃ恥ずかしい
どきどきと五月蝿い心臓の音も聞かれとるんやろうか?
「な、なぁ?」
『うん?』
「なんでいきなりおんぶとか言うたん?」
『謙也を全身で感じたかってん』
「な、なな、何いきなり恥ずかしい事言うてんの!!」
『言え言うたんは謙也やんか』
「な、なんでや!なんでいきなりそんな事思うたん!」
あかん。完璧にあかん。こいつ何考えてんねや!
嬉しいやら恥ずかしいやらどうしたらええん!?
名前のせいやし!俺めっちゃどもってるし、心臓も五月蝿い。白石ならこんな風にはならへんのやろか?
『なんか、謙也が格好良くて、可愛くて、好きや思ったんや。最近テニステニスて構ってくれへんかったし、』
あかん。そんな素直に言われたら俺おかしなるわ。抱っこやのうて良かったわ。ほんまこんな顔見せられんし。
「ごめんな、淋しかったんやな?」
『うん…』
ぎゅうとまた首に回された名前の腕に力が入る。頭撫でたりたい…
『謙也、』
「なに?」
『走って』
「は!?何言うてんのこのまま走ったら自分大変やで?」
『ええから早よ、家まで走って?』
「しゃあなしやな…しっかり掴まっておかんと落ちるで?」
おん、と言うと同時に背中にあたる感触が強くなる。いらんこと言わんとけば良かった…
俺は胸のドキドキを隠すために夢中で名前の家まで走った。
着いたと同時に背中から降りた名前が俺に抱き付いて心臓の音すごいわ、何て言うから息を整える事すら困難になる。
今日のこいつホンマになんやねん、そのうち俺不整脈で死んでまうで?
「自分が、はっ、はぁ…走れって、言、うた…はぁっ、からやん、かっ…はっんん、んっ」
名前が俺の両頬を手で挟んでキスをしてきた。息ができん。しぬ…
「っ、はぁっ…はっ、何やねん、しぬ、わ…」
『ご褒美やで?』
「おおきに…」
『謙也顔真っ赤やー!』
「う、うっさいわ!自分かて赤いやんか!」
『恥ずかしいもん、しゃあないやんか…』
あかん、あかん。反則やで。もん、はないやろ。可愛すぎてノックアウトされそうや。
我慢とか理性とか知らんわそんなもん。
『んんっ!?けん、にゃっふむ…んぅ…』
「っ、はぁ…ご褒美や」
『なんの!!』
「顔リンゴみたいになっとるで。淋しいの我慢してたご褒美や」
俺は恥ずかしくて名前に背中を向けた。
すると名前がまた背中に抱きついてきよったからに、動けへん。
『ご褒美、おおきに謙也めっちゃ好きや』
「お、おお俺のが好きや!あほ!」
背中
(謙也の背中めっちゃ安心すんねんけど)(あ、あんまりくっつかんといて!)(なんで?)(あ、当たっとんねん!)(ええやん別に)(良くないわ!ええわけあるか!)(へたれー)(なんでそうなんねんあほ!)(謙也かわええ)(う、うっさいわ!)
100322*紅羽
謙也におんぶしてもらって全力で走ってもらいたいですね…
謙也は終始赤面でした。