※高校生設定




11月、文化祭も終わり三年生は既に進路について話を進めている。
二年生も進路についての話し合いがされており白石も謙也もユウジも小春も師範もみんな安定した夢と進路が待っている。
私だけ、未だに悩んでいる。
一応話は進んでいるのだが、家族や家庭のことを考えると家を出て自分の道に進んでいいものか非常に悩んで仕舞うのだ。

今数枚の書類と資料と睨めっこを始めて早数時間。
辺りは真っ暗で教室には私以外誰も居ない。
深い溜め息を吐いて机と書類の上に突っ伏した。

『…いいなぁ…みんな…私、どうしようかな…』

ぽつりと呟いた声が教室内で反響するように私に返ってきて余計に憂鬱な気分になった。
この間やった三者面談…いや四者面談を思い出しまた深い溜め息を吐く。

「溜め息吐くと幸せ逃げんで?」

不意に上から掛けられた声に顔を上げ目を瞬かせる。
よ、と軽く片手を上げる彼を疎ましく思い態と頬を膨らませ書類を隠すように机に腕と顎を乗せた。

『いいよね、白石は…』
また深く溜め息を吐く
「何がやねん」
『進路すんなり決まって心残りも何もなく自分の道に進めるじゃん?しかも東京とか、羨ましい。私も帰りたいわ』
言っていて切なくなり眉と瞳に憂い感情が浮かび上がったのか頭を撫でられた。
「心残りが無いわけやないで?」
『嘘。』
直ぐに反応した。
何故私は関係ない白石に苛々しているんだろうか。ごめん、ケンカしたい訳じゃない。正直想い人がいきなり現れて嬉しい。

「…まぁ…俺はええねん。自分、東京帰って専門受けるんちゃうん?」

核心を突かれ、くぐもった声しか出なかった。
眉を潜めれば白石はよいしょと前の席の椅子を引っ張り出し座った。
白石は何をしに来たのだろうか。

『笑いに来たなら笑えばいいじゃん』
半ば投げやりに言えば困ったように顔を歪め頬をかきながらはははと笑った彼。
言ったのは確かに私だがムカつく。
『本当に笑うとかマジ可愛くないわ…』
「笑てええ言うたんお前やんか」
本当におかしかったのか今度は普通に笑った此奴。

『……白石になりたーい』
「無茶言うなや」
『だって白石イケメン何でしょ?完璧で聖書で絶頂なんでしょ?』
「女の子が絶頂とか言うなや、ちゅーかイケメンとか何やねんいきなり。」
『友人その24が言ってた』
「番号で呼んだら可哀想やろ」
『てかお前何しに来た』
「俺の心残りがどうなってるか見に。」
『益々腹立つ』
「専門行かんのやったら白石クンのお嫁さんに変更しいや」
『きたよプレイボーイ発言』

私は溜め息を吐き書類を仕舞おうとするとその手首を包帯の巻かれた左腕が素早く捉えた。

「俺は本気やで」
『…何が?』

「俺の嫁になるか専門行くか選び。まぁ専門行っても俺と同じ東京やし逃がしたらんけど」
『何言って…』
「お前の気持ちなんとっくの昔に知っとるっちゅー話や。」
『謙也ェ…』
「こら、ボケるな」
『白石の嫁になるくらいなら専門行くわボケェ』

照れ隠しに言った私の顔はきっと真っ赤なのだろう。
彼は優しく笑って頭を撫でてくれた。

「両思いで良かったわ…」
『う、うっせぇ…』


私は体中の熱が顔に集中するのを感じながらシャーペンを握り直し書類に書き込んだ

第一希望:○×専門学校
第二希望:今目の前にいるプレイボーイの隣




『白石。』
「なん?」











やっぱり第一希望にしてもいい?










(好きなようにしい。どっちにしろ東京やけどな)(え)(えってなん)(だったら専門行くわ)(ちょ)(行きながらじゃ、だめ?)(…かわええ)(し、しね!!)(っだ!)(ふん)(ほな、一緒に帰ろや)(…)(顔真っ赤やで)(しね)(好きやで)(しね)









101106*紅羽
もう11月!早いですねぇ・・・
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