何故この気持ちが伝わらないのか、伝えようとしても何処かで邪魔が入る

何故この気持ちが伝わらないのか、伝えようとしても何処かで邪魔が入る

彼女はいつも遠い遠い存在で。俺はもう・・・
彼はいつも遠い遠い存在で。彼はもう・・・

そっと呟いた貴方の名前をもう一度口の中でぽそり繰り返してみる。
そっと呟いた彼の名前をもう一度口の中でぽそり繰り返してみる。

届いてるよ、届かないよ
届いてないよ、届かないよ

もっと近づきたいのに近づけないんだ。
もっと近づきたいのに近づけないんだ。





おはようと呟く私の小さな蚊の鳴くような声はあまり交流の無い友人達のコミュニケーションの音(声)でかき消される。
届いては居ないけれど、囁くだけで十分なの。
なんども気持ちを伝えようとした事はあったのだけれど、結局自信の無いもう一人の自分に邪魔をされたり、まわりのありがた迷惑に押し殺されたり。
私は考える事すら止めたんです。ありがとう、ごめんなさい。
眼鏡を掛けて、髪を結って自分を隠す。気付いて欲しくないんだ。







「おはよう」そう呟く声を聞いて早くも二年半。
俺は何度か答えたことがあったんだけど、君は聞いていないんだろうな。
周りに集まる土足で俺の中に侵入するクラスメイトに興味なんか無い。
今日も俺は、一人窓側の席に座り外をつまらなそうに見つめる君を目の端で捉えつつクスメイトに溶け込もうとする。
俺はなんて利己的なんだろうか。嗚呼、俺は何がしたいんだろう。









ある日彼は泣いている私に言いました。
そんなに泣いて、どないしたん?
私は授業中にも関わらず何故か私の隣に居る彼に心底驚いて涙が引っ込んでしまいました。
ほら、泣いてるよりそっちの方がマシやで。
そう言って私の眦を指で擦る彼は聖母マリアよりも優しく、絶世の美女よりも綺麗な微笑を私なんかに掛けてくれたのです。
どこか懐かしいその表情に私はまた涙を零しました。
泣かんの
頭を撫でてくれる彼の掌の温もりを感じ、じわりと小さな痛みと嬉しさと愛しさと暖かさが広がりました。



やっと見つけたんやから。

彼は、私の眼鏡をそっと外して、私の素顔を覗きました。





もう彼は居ないのに、お別れをしてしまったのに。どうして、どうして?




迎えに来たで。
迎えに来たで。



「なんだ、そこに居たの・・・?

 教えてくれたって良かったじゃない」


私は再び彼の体温を感じる事が出来ました。








おかえり、久しぶり






(ただいま)(おかえり)(久しぶり)(うん)(また会えたやんな)(うん)(会えたんやから、泣かんでや)(誰のせい、なん・・・っ)(俺かてずっと気付かへんかったんやから、許したってや)(やだ)(うわ、ふられた)(・・・抱っこしてくれたら、許したる)(ん、おいで。)



やっと、会えました――・・・・・





100904*紅羽
解説?いりますかn←知りたい人が居ましたら気軽にどうぞ。
まぁ、妄想するほうが楽しいかt←
続編書くかm(何でもないでs

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