『ちょっとあんたら何してるわけ?』

昼休みに千歳にDVD(トトロのヤツ)を返してもらって、新しい方(千と千尋の神隠し)を渡すつもりで探していたら女の子が人気の無い体育館裏で不良に絡まれているではないか。
おいおい・・・千歳を探しているといつもなんかあるんだよな・・・
この前は裏山の泥にはまって抜けなくなったし、まぁ千歳が助けに来てくれたんやけども!それでもアイツに関わるとなんかかんかあるし・・・

「名前ちゃん…!!」


ちょぉ、女の子半泣きやんけ・・・
私は男共をキッと睨んで背中に女の子を隠した。

「なんやねん、自分に関係ないやろ?」

男は三人ぐらい居て女の子を囲んどった。
お前らは三人になってかからんと女の子一人も襲えへんのかいな・・・

『女の子が嫌がってんのに何しとるんか聞いてんねん』

「名前ちゃん…っ」

『ほら見てみぃ!泣いてるやろ。見て分からへんのか?やめろ言うてるやろ。これだから男は…』

「ちっ、行こうぜ!」


男ってどうしてこう低脳な生き物何だろうか。
男って最低。
女の子にセクハラしとったから止めたんやけど、女の子全然泣き止めへんし…!!
どないせーっちゅうねん!

とりあえず保健室に連れて行かな…

『保健室行こか?な?』
「っく、っひ……」

背中をさすってやるものの泣き止む気配がまるで無い。
こらあかんわ…

『堪忍な?』
「ぇ…」

ふわっと彼女をスカートがめくれないように姫抱きにして持ち上げる。

軽っ!!女の子ってこんなに軽いのか…
自分で自分を持ち上げる事が出来ないので全く持って基準が分からないが…
とりあえず保健室に連れて行き彼女の担任の先生に事情を説明してきた。
姫抱きにしたら途端に泣き止んで、赤い顔でこっち見てたけど…熱でもあったんやろか…


はぁ、と浅くため息を吐きながら教室に戻ると笑顔の白石がすっ飛んできた。


「お疲れさん、」
『え、何、見てたん?』
「おん、体育館裏とかベタやなー思て。」
『助けてやれよ!!!』
「俺謙也とユウジと小春と銀と小石川とバスケしとったしなー」
『男って最低ー』

まさに棒読みである。
っていうかさっきも同じ事思ったような…

「っちゅーか自分は体育館裏で何してたん?」
『ちー君を探してたのだよ…まじあいつ何処行ったし』
「……なんで千歳なん?」
『ん?ちょっとねー』
「ふーん」
『さーて、授業授業っと。』

白石は眉根を寄せて不機嫌そうな顔をしていたけど、私なんかへんな事したかな…?


授業が終了して私はまた千歳探しの旅に出る。
あいつめ…今日は学校来てるって聞いたのに…あ、白石がテニスしとる。
・・・って!千歳も居るやんけ!

『千歳ー!』
「あ、名前」
『おっ、白石お疲れさん』
「なんばしよっと?」
『はいこれ。あと返せ!』
「な、なんのこつか検討もつかんばい」

あからさまに目をそらした千歳の胸倉を掴むともう一度声をワントーン下げて言ってやった。

『返せ言うてるのが分からんのかボケェー……』
「スミマセンデシタ」

千歳から返してもらったケースをもう一度確認してからコートを後にしようとした時、誰かに手首を勢い良く引っ張られてバランスを崩した。

『うぉっ!!??』

「名前〜…」

『ちょ、今何で引っ張った!』

「名前ー…」

気が付けば、バランスを崩した私は後ろから白石に抱きしめられる形になっている。ようするにこう、白石の胸板に背中と肩と頭がだな・・・

しょんぼりとしている白石が私の肩に顎を乗せて体に回した腕に力を込めるのが分かった。

『あー…白石部長、離してくれると物凄くありがたいです。』

白石はそれを聞くと渋々ながらも私を解放してくれた。
私はじゃ、とコートを後にした。

最近の白石がおかしいように感じる…最初からあんなやつでは無かった。
初めてのあいつとの会話は頭髪の注意を呼びかけたというものである。
風紀委員の私は白石の頭髪を注意した。その時の白石は今みたいに馴れ馴れしくはなく、周りの女子と対等に私を見ていた。
多分。

白石どうした。この一言に尽きる。
まぁ、なんとなく理由は察してるのだが、なんか、自惚れたら負けかなって!!!(必死)

教室に行くと昼休みに助けた女の子が私を待っていた。


「名前ちゃん、あの、あの、」
『ん?どうしたの?また泣かされた?』

顔を真っ赤にしてもじもじとしている彼女の側によって顔を覗こうとすると余計に顔を真っ赤にして俯いてしまった。
風邪かな?

『なんか熱あるみたいやけど、大丈夫?早う帰った方がええんとちゃう?』

「名前ちゃんは、その、帰るの・・・?」

『あー、まぁ、帰ろっかなぁ思てたけど?ほんまにどないした?』

「その、名前ちゃんって、かっこいいよね!」

!?なんの話やねん・・・ちょ、笑うとこやったわ・・・!

『いや、かっこよくないで?っちゅーかあれはその、風紀委員の仕事みたいなもんやしな。君は可愛らしいからええやんか?ほんまに女の子らしいし羨ましいくらいやわ』

にこりと笑えば赤かった顔を耳まで赤くして教室を飛び出してしまった。
私またなんかやらかしたのか・・・?


はぁ・・・と深い溜息をつく私。

最近こんなんばっかりやん・・・
明日からテスト週間だなぁ、今回は金色君に負けたくないからちゃんと勉強しなければ・・・
前回のテストで私は金色君に負けた。
今までずっと同率一位を守ってきたのに、数点の差で負けてしまったのだ。

『あんなに悔しいのはもう嫌やからなぁ。金色君は好きなんやけども・・・』
「え・・・名前って小春の事好きなん・・・?」
『いや、友達としてだけど・・・って何で白石が此処におるん?もう部活終わったんか?』
「テストがこれからあるっちゅーのにずっとやっとるわけないやん。」
『そうだよねー。』
「なぁ、名前。」
『ん?』

白石が妙に真剣な口調で話しかけるから一瞬どうしたらいいか分からなくなった。

「俺な、」

そう言いながらどんどんと私の方に近づいてくる白石は本当に真剣な顔をしていた。

「名前の事」

そう言った時にはもう私の目の前で。

「めっちゃ好きやねん。ありえへんくらい好き、好き。」
『まぁ、薄々感じてはいたけど、その・・・私ってこんな性格だし「そんな性格やから俺は好きなんや。」・・・あー・・・』
「さっきおった子、絶対名前の事好きやし。あの子にも渡したくないんや。千歳にも」
『や、あの子はちゃうやろ?っちゅーか女の子やんか。千歳にはDVD返してもろただけやし、なんでそこで千歳が出てくんねん。おかしいやろ・・・』

「返事、は・・・?」

『私どっちか分からへんねん・・・』

「俺はほんまに好き。」

そう言って白石は私を抱きしめた。
胸板を押し返しても無駄だったのでそのままにしたった。
はぁ、白石の周りにハートが乱舞しとる・・・



「なんばしよっとねー?」


『あ、ちー。これ剥がしてくれへん?剥がしてくれたらジブリ展一緒に行ってあげるけど、』
「!」
「あー、余計に離れたくなくなったんやけどー・・・」
『何でー・・・』
「白石、離れんと俺が才気煥発の極みで「やって名前、俺が離れたら千歳とデートやろ・・・?」
「かぶせられた・・・」

しょんぼりとした白石が悲しそうに言葉を紡ぐ。
余程嫌なのか肩に顔を埋めて私のうなじに鼻を押し付ける。

『せやけど白石離れてくれへんやん?』
「白石はほなこつ名前に惚れとぉばってん、ちゃんと答えてやらんといかんばい。」
「断られたらショックで離れられんし・・・」
『えー・・・じゃあ付き合うから・・・。』
「ほんまに!?」
『私に二言は無い。』


「じゃあじゃあ、」


犬のように元気になった白石の頭とお尻のあたりに耳と尻尾が見えるのは気のせいだろうか。




「お姫様だっこしてくれへん!?」


















姫抱き












(・・・白石ってさ、)(うん?)(馬鹿だよね・・・)(今更たい・・・)(えええ!!!やってあの子には姫抱きにしてたやんか!!)(あれはあの子が泣いてて動かへんかったから保健室まで運んだだけやし・・・第一、男と女では体重の差がな?)(はよだっこしてー)((コイツ・・・)仕方無いな・・・よっと・・・)(名前も大変ばい・・・)(え、ちょ、何で首に腕回してるんだお前・・・!!)(んー)(うわぁぁぁあああああああ!!!!)(人前でキスするとか、ラブラブっちゃね・・・お邪魔虫は退散する事にするばってん、お幸せに!)(千歳のどあほぉぉおおおおおお!!!!!!!)














100515*紅羽
甘えた白石・・・!!っつーか乙女・・・!!!
書いてて男勝りってなんだろうって思い始めました。ゲシュタルトが崩壊しましたorzorz申し訳ない・・・!!(泣)こんなので宜しければユウリ様に捧げます・・・!!
リクエスト有り難う御座いました!!久しぶりの短編は楽しかったです^^苦情等はユウリ様のみ受け付けます!こんなので本当にすみません!キリ番500おめでとう御座います!
っていうか千歳の口調ワカンネorz
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