食堂でご飯を食べて食器を下げた。
この後の動きについては開会式で説明されていたらしく、全然聞いていなかった私は真威と真珠から改めて聞いた。


紗弥香『自由行動ねぇ…』
真威『何する何する!?』
紗弥香『強いて言うなら寝たい。』
真珠『まだ寝る気なんですか?;』
真威『はい!却下!じゃあみんなで探検に行きましょう!』
なんでだ…突っ込みたい気持ちはこれ以上無いくらいに沢山あったがとにかくこの食堂から抜け出したくてとりあえず頷いた。

真威『と、その前に…!!』
真珠『はい?』
紗弥香『ん?』
真威『僕、ちょっとラケット取りに部屋戻りたいなぁー…??;』
紗弥香『はぁ…じゃあ探検しながら上行ったら?』
真珠『イイ考えですね!せんぱい!』
真威『わーい(笑)それにしてもさー、合同合宿とは思わなかったなぁー』
真珠『ですよね、ホントびっくりしました…』
紗弥香『教えてくれても良かったのに、な…』

ほんとだよと呟く真威に少し安心して一階ロビーを出た


殆んど必要なものは1階に集まっており、体育館へと続く簡素な吹き抜けの廊下の横にもう一つ伸びてる道があり、そっちは大浴場となっていた。体育館の二階はプールになっていてお手伝いさん達が水質を測ったりしていた。

他に一階にあったのはコンビニ、図書室、さっきいた食堂。
図書室にはご丁寧にパソコンが設置されて本も沢山あって充実した設備に真珠ちゃんが嬉しそうに目を輝かせていた。
真威が思わず真珠ちゃんを写メっていたので私はその光景を写メっておいた。
二階以降は個室になっており、少し残念そうな真威が口を尖らせてつまんないの。と吐き捨てた。因みに四階はどこの学校も使用していない。
屋上であるテニスコートへ行くと真威が俄然やる気を出してぴょんぴょんとその場で跳ねた。
私は溜息をついて先ほど部屋から持ってきた飴を口の中に入れた。
真威『ねーねー!打ち合いしていいのかなー!?』
紗弥香『ここは最終日に試合する時のコートだよ?』
真威『そうなの?』
真珠『たしか普通のコートは屋外だった気がします・・・』

ちぇーと拗ねる真威を連れて屋外のテニスコートへと移動した。ちらほらと他校の生徒も来ている。
紗弥香『・・・・・私ジュース買って来るわー真威何飲む?真珠ちゃんも。』
真威『私ポンタ!』
真珠『えと、あの、私はお茶で・・・』
紗弥香『りょーかい』





――――――‥‥







〜食堂

俺は紗弥香が亞騎に掴みかかったあと、抱きしめられている所まで見た。
そこからは見てられへんかった。なんか心臓の奥がぎゅうーてなんねん。
なんでやろか・・・

白石「亞騎?」
亞騎「はは、やっぱり怒られたわ・・・でも」
白石「ん?」
亞騎「ちゃんと話して良かったわ。」
白石「さよか。」

亞騎はちゃんと紗弥香と向き合えたんやな。あとは俺がちゃんとせな・・・

謙也「なんや、良かったやん?」
財前「紗弥香の優しさに乾杯やな。」
亞騎「全然優しなかったけどな」
一氏「なにされてん?」
亞騎「教えへんでー」
小春「何にしても後は白石はんが話すだけやね」

小春がいきなり俺に話を振るからどないしよ思ったわ。けど、やっぱりこのままなんは嫌や

白石「覚悟は出来てんねんで。」
銀「キッカケは作ったるさかい、がんばってぇな」
金太郎「白石と紗弥香っちゅー子喧嘩でもしたん?」
白石「まぁなー」
千歳「白石が喧嘩ってよっぽどのことたいね、ばってん白石ならちゃんと仲直りできるばい。応援しとるけん」
財前「謙也さんなら絶対どもりますわ」
謙也「今俺関係ないやんか!」
小春「確かにそうなりますわなーへたれやさかい」
一氏「ヘタレやからな」
亞騎「謙也ー言われてんでー!(笑)」
謙也「う、うっさいわ!」
白石「もうどもってんで?」

うんうんと頷くユウジに謙也がなんか目で伝えようとしてるんやけどユウジ全然見てへんし。亞騎にも言われてなんや可哀相やけどまたどもった謙也につっこんだった。

亞騎「はははっ、なんかこんなん久しぶりで懐かしいわー。」

「蓮見部長ー」

亞騎と話している時、薄い栗毛で前髪にでかピンしてる男子が亞騎に声をかけた。部長言うてるからきっと後輩やねんな。その子の周りにもたくさん同じユニフォームが並んどった。

亞騎「なんやー?」
準「紗弥香達知らない?」
亞騎「どうかしたんか?」
簾「や、真珠も皆していなくなったから何処いったのか気になったんです。自由行動だし」
亞騎「俺は見とらんけど・・・?(なんや簾、真珠ちゃんにほの字かいな)」
紺「ほんとは部長の話してる相手が気になって声かけたんだよね?準?(笑)」
準「おまっ!?違うし!」
亞騎「あー、話すの遅れてもうたな?俺転校してくる前までここの学校にいたんやで。」
簾「まじっすか!?」
亞騎「まじっす。あ、白石?うちの部員紹介するな?」
白石「さよか、頼むわ」

亞騎「左から浪川簾、一年生レギュラーや。あっちの黄色い髪の今井紺っちゅー二年生とダブルス組んでんねん。」
簾・紺「初めまして」
亞騎「簾はちょっとっていうかなんか財前っぽいヤツや。音楽好きやし。紺はとりあえず可愛いバカやねん。」
紺「可愛いばかってなに!?」
亞騎「簾の隣に居るのが双子ちゃんや。向かって左が準で右のDS見つめとるのが颯や。準はアレ、あの、ツンデレやねん。二人とも三年生でダブルスやねんで!」
準「誰がツンデレだって・・・?(怒)」
亞騎「ツンデレはツンデレ言われたら怒んねん。して、颯が毒舌やけど大人しい子やでー。ゲーム見るのが好きなんや。」

一氏「うわーめっちゃ似とるなー自分ら。」
白石「双子やから当たり前やんか」

亞騎「でその颯の見てるゲームやりまくってるのが金箕祐也や。ゲーム大好き三年生、シングルスや。」
祐也「今俺のこと呼んだー?ばかあきーそんなにポケモンやりたいの?やらせないけど!っていうか用事無いのに呼ぶなよばかー今努力値振って忙しいの!」
亞騎「ばかちゃうわ!っていうかどうでもええわ。アホ。」
謙也「ゲームて・・・努力値とかなんやねんそれ・・・」
亞騎「その祐也の後ろに立ってるポーカーフェイスな長身が二年の宮木紫兎や。みやきやのうてみやぎやで。」
紫兎「(お辞儀)」
亞騎「こいつはとにかく不器用や。うん。優しいんやけどなー。あ、紫兎はシングルスや。あ。あとあのかわええ女の子みたいな子がマネージャーの一年生。冠雪や。人見知り激しいさかい、優しーしたってな?あ、忘れとった。雪の兄の吹雪やで。コイツはめっちゃ可愛くないバカやねん。もうほんまにバカやねん。果てしなくバカやねん。どうしようもないんで有名や。」
吹雪「部長!そんな言い方はないでしょう!?僕は天才ですよ天s「「ちょっと黙れ(紺&颯)」」

亞騎「まぁそんなこんなで可愛い部員や」
白石「紹介してくれてありがとう。俺は四天宝寺中で部長しとる白石蔵ノ介や。それでこいつが忍足謙也ゆうてヘタレやねん。まぁ浪速のスピードスターとか変なあだ名ついてんねんけどな?まぁ仲ようしたって。ほんで―――・・・とまぁこんな部員や。亞騎がこっちいた時には千歳も金ちゃんも居らんかったさかい、亞騎とはお初やねんで。
こっちいた時の亞騎は俺と謙也と同じクラスでめっちゃ仲良かったわー。」
亞騎「紗弥香もおったんよ。財前と同じクラスで仲ようしてもろたみたいや。」
簾「へー、そうだったんスか・・・それでサプライズとか言って黙ってたんすね。」
紺「まぁ、驚いたけどねー。色んな意味で」
準「ん?ってことはあの合宿一週間前電話かけてた相手ってこのための電話だったの?」
亞騎「なっ!?聞かれとったんか!?」
簾「聞いたというかなんていうか・・・(苦笑)」
紫兎「先輩にほも疑惑があがったんですよ。」
亞騎「なんて!?っていうか紫兎真顔で言うなや・・・」
白石「亞騎がほもて・・・笑えるんやけど・・・ぷっ・・・」
亞騎「ま、まぁええわ。とにかく騙したみたいで悪かったな・・・スマン。」
簾「因みに紗弥香先輩と真威先輩は多分まだほもって信じてますよ?」

亞騎「・・・終わった・・・。」
白石「まぁ、どんまい」
白くなった亞騎の肩に手を置いた。

亞騎「皆自由行動でどっか行ってもうたみたいやな。」
一氏「ほんまや。3分の2くらい居なくなっとるなぁ。」
小春「打ち合いでもしてるんとちゃいますのん?」
千歳「皆テニスが大好きたいね」
準「颯、行くか?」
颯「んー、準がいくんならいこっかな?」

白石「ほな、ぼちぼち行こか」
もしかしたら紗弥香おるかもしれんし・・・
俺は重い腰を上げて食器を下げた。





――――――‥‥





一番近い東屋の横にある自動販売機のジュースがすべて売り切れていたので少し離れた所に来た。まぁここの別荘はあんまり使ってないから細かいところが整ってなかったりする。自販機の近くに来ると銀髪の人と眼鏡をかけた人がジュースを選んでいた。

仁王「お、お前さん確か覇渋の女子だったよなぁ?例のダブルスかのぅ?」
紗弥香『さぁ?』
仁王「つれないヤツじゃのぉ・・・」
紗弥香『そりゃどうも。そこどいてもらわないとジュース買えないんだけど・・・』
柳生「仁王君?もう用事は済みましたから早く行きましょう。」
仁王「なんじゃやーぎゅまで・・・またな、子猫ちゃん」
紗弥香『なっ!?』
仁王と呼ばれていた銀髪の男が初対面でいきなり子猫ちゃん呼ばわりして頭を撫でていったもんだから吃驚して固まってしまった。

気を取り直してジュースを買ってコートへと戻るとやっぱり皆コートを使うのか、カラフルなジャージが揃いはじめて眩しい。
自分の居たコートへと歩を進めると誰かと真威が試合をしていた。ナンパでもされたんだろうか・・・真威は可愛いから仕方ないか。
そんなことを考えながら真珠の座るベンチ(ベンチコーチ用)の隣に腰を下ろした。

紗弥香『真珠ちゃん、はいお茶。なんで真威バトってんの?ナンパでもされたの?』
真珠『蓮見先輩!』
紗弥香『あ、名前でいいから。』
真珠『はい、すいません。じゃなくて!なんか…その、青学のあのツンツン頭の人が……』




桃城「女子のダブルスやってる子?俺と試合してくんねぇ?」
真威『いいけど、今相方がジュース買いに行ってて…だから時間かかると「いや、そうじゃなくて、ダブルスじゃなくてシングルスっすよ♪」




真珠『そんなこんなで試合が始まっちゃって…あ、お茶ありがとうです…』
紗弥香『ふーん…ナンパか。』
パキャ、とポンタの蓋を開けて中身を流し込むと炭酸が喉を刺激した。


不二「ゲーム雪条2―1。雪条リード!」

桃城「くっそ!つえぇな、つえぇよ…けどこれからだぜ!」

真威『僕だってまだまだだよ!あっ、紗弥香!私のポンタは!?』
紗弥香『ん。』
私は横に置いた真威のポンタをヒョイと持ち上げた。

真威『ポンタの為に頑張ろ!』
紗弥香『頑張れガンバレ』
真珠『てきとうですね紗弥香先輩…』

紺「およよ、真威が試合してるーめっちゃ楽しそーう(笑)」
紫兎「2-1か…」


真威『よっ、と』

パコーン!

桃城「くそっ!」

パコーン!

真威『決める、よ!』
パコーン!

桃城「あっ!」



菊丸「何してんだよ桃ーぅ!!真面目にやれよー!」
乾「なかなかに強いな、あの桃が防戦一方とは…」

水野「桃ちゃんせんぱい…」
堀尾「これから攻めるんだよ!だってあの桃ちゃん先輩だぜ!?」
加藤「でも守るので精一杯ってかんじ…」



海堂「桃城、女相手に何してやがる…」

紗弥香『女だからなんか比べられなきゃいけないわけ?』

海堂「誰だ、お前。喧嘩売ってんのか?」

紗弥香『ただのマネージャーだけど』

海堂「ならすっこんでろ」

紗弥香『……君さ、私と試合しない?』

海堂「ああ?なめてんのか」

紗弥香『逃げるの?女だから?女に勝つ自信ないんだ?』

海堂「フシュー……やってやろうじゃねぇか」


亞騎「ちょ、紗弥香?」
紗弥香『大丈夫だよ。負けないし。審判宜しく』

女だからって、真威や私をバカにするヤツは許さない。
被っていたサンバイザーをベンチに置いた。
紗弥香『ちょっと打ってくるね』
真珠『……せんぱい…』
紗弥香『大丈夫、勝つよ。』
真珠の頭を撫でてから新しいチュッパチャプスの包み解き口に含み真威の隣のコートに入る。

紗弥香『よろしく?』




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