結局その日の夕飯は肉じゃがになった。
家事をすませ、お風呂上りにふと気になったことがあった


コンコン

亞騎「どうしたん?入ってええでー」

ガチャ・・

紗弥香『入るよ。ねぇ亞騎?』
亞騎「うん?」
紗弥香『家って合宿行っていいの?母さんや父さんに聞いたの?』
亞騎「もちろんや。もうOKもらってんで。好きなように別荘もつこてええて言うとったわ。」
紗弥香『ふーん。じゃね、おやすみー』
亞騎「ってそれだけかいな;」

バタン・・




亞騎「あ、さっき言えば良かったんかな?でも・・・うーん・・・まぁ、サプライズやサプライズ!嫌われたって仕方ないかぁー・・・けど嫌われたない・・・ほんまにどないしよー!!!」

亞騎はベットの上でばたばたともがくのだった。




――――――‥‥









そして、合宿前日の金曜日になった
その日はめちゃくちゃだるく、あの亞騎に起されるほどであった。
もちろん授業なんてほとんど死んでた。見事に死んでいた。



だるいわー・・・ありえない・・・どうしたんだろう、緊張してたりして(笑)
今は本日最後の授業なのだが顔を上げる事すら面倒となり、机の上でごろごろしていた

ツンツンとシャーペンの頭で腕をつつかれた感触がして顔を上げると隣の席の紫兎に心配された。
紫兎「明日から合宿だぞ・・・なんかあったのか?」
紗弥香『なんもないーなんか疲れた…』
そう答えてまた目を伏せる
HRになり目を開けると、私の机の上に飴の袋が一袋丸々置いてあった。未開封のパッケージのまん中あたりに不器用にメモが貼ってあった。
"無理したらその顔にスマッシュあててやるから"
と少し筆圧の強いしっかりした字で書かれていた。
え、ちょ、顔はやめて。と横を見るとぎこちなく目をそらした紫兎がいた。

―――不器用なヤツ・・・
けど少し元気が出た。
知らないフリをして欠伸を一つ漏らしグラウンドの方を見やるとHRが終わった運動部員が集まり各々で部活を始めようとしていた。
荷物を整え教室から出かけて紫兎にお礼を言おうと思った。ホントは知らないフリしていようかと思ったけど、なんだか今のうちに言っておかないと何かあるような気がしてドア付近で振り返り紫兎を呼んだ。
呼ばれた紫兎と紫兎以外の数人のクラスメイトが私の方を向いた。
きょとんとした紫兎が人懐っこい大型犬のように思えてなんだか無性に撫でたくなった。
紗弥香『ありがと』
それだけ言って教室を後にした。
今日、テニス部の明日合宿へ参加するメンバーは部活が無い。荷物をまとめて体を休めるための時間である。
私もまっすぐ帰って準備をしようと思っていた、が。
長い廊下を歩いているときそれを阻止されてしまった

真威『紗弥香ー♪』
振り返ると真威と真珠がこちらを向いて微笑んでいた。
紗弥香『なn『買い物行こうよー!』






――――――‥‥








紗弥香『で?なんで水着・・・スク水あんじゃん?ってか何で泳ぐの?テニスするんじゃないの?』
真威『紗弥香は甘いなぁー男には女を見せなきゃね!!それに好きな人が出来るかもしれないしあのメンバーで楽しくテニスのみをプレーするのはさすがにつまらないよ!あ、あと僕が皆の水着姿見たい。』
紗弥香『私はテニスのみで結構です!ってかあのメンバーは確かに皆カッコいい方かもしれないしモテるけどあいつらと恋が出来ると思ってる奴がいたらとりあえず私オススメのいい脳外科紹介するわ。つかなんでそんなお前の煩悩に付き合わなきゃいけないんだっ!』
真威『うん、かっこいいでしょ☆R陣ってもてもてなんだよ!いいじゃん、皆に自慢できるじゃんか!皆で水着着て写真とってクラスのみんなに自慢したいお年頃なの!っていうか脳外科とかなによ・・・その表現がもう虚しい・・・その歳で脳外科のいいところ知ってるなんてなんか物凄く虚しい事のように感じるよ・・・まるでお年よrやっぱなんでもない。母さん悲しいっ!』
紗弥香『おい今お年寄りって言おうとしたろ。そうなんだろ。てか写真撮りたいんだろ?じゃあ私シャッター押す係りやるから水着いらねーわ。皆楽しんでね!あとお前は私の母親じゃねぇ!』
真威『うーつーれーよー!水着きーろーよーシャッターなんてお手伝いさんにでもたーのーめーよー!』
紗弥香『お年寄りはスルーかこんにゃろ・・・お前が危篤になっても私は何も助けないからな。あと語尾のばすななんかきm『まーしゃー紗弥香がいじめるぅー(泣)』
紗弥香『なんでいっつも遮るんだ!』
真珠『・・・・・///』
真威『まーしゃ・・・?』
紗弥香『どうしたの真珠ちゃん?あ・・・』

真珠の視線の先にはテニス部の部員が買い物に来ていた。
しかも水着。

なんで皆遊ぶ気まんまんなんだよ・・・と紗弥香は落胆した。








――――――‥‥








紗弥香『ただいまー』
お帰り、と返事がなく不審に思った。
あれ、亞騎帰って来てないのかな?靴はあるのにな・・・寝てる?


自室に戻り結局買わされた水着をベッドの上に放り投げ物置へと向かった。

紗弥香『一週間用のキャリーバックどこだっけー・・・』

「紗弥香ー・・・」

薄暗い物置から何故か亞騎の声がして私は心臓が飛び跳ねた。

紗弥香『なに、してんの・・・』
亞騎「いや、なんか物にハマって抜けられなくなってたんや・・・」
紗弥香『へー』
亞騎「もう少し心配してくれ」
紗弥香『キャリーバックどこか知らない?』
亞騎「してくれへんのかいな!キャリーバックはそっちにあると思うで。こっちには無かったし…あ、足抜けた。一生挟まったまんまかと思ったわー・・・」
紗弥香『お、あったあった。亞騎のは何色だっけ?』
亞騎「俺んはグレーや」
ほい。と亞騎の方にキャリーバックを流す
亞騎「サンキュ」
紗弥香『私のは、これか・・・』
紫色のキャリーバックを転がす。

紗弥香『はー…疲れた。物置も整理しないとなぁ・・・ね、亞騎』
亞騎「うん?せやな」
物置の扉からバックを持って廊下でバックを転がしながら今日の夕飯について亞騎に切り出した

紗弥香『今日の夕飯、母さんも父さんも帰ってこないから出前でいい?』

いいよね?と紗弥香は黒い笑みを浮かべたのでうんとしか言えない亞騎だった。









――――――‥‥





早めの夕飯を食べ終えた私は自分の部屋で紫兎から貰った飴の袋を開け、小さく包まれた飴を取り出し口に放り込んだ。
それは優しいミルク味、紫兎がこんな甘い飴を食べるなんて意外だった。結構ミント系とかのど飴とか好きそうなイメージがあったから。

あー、明日は合宿だなぁー。真威はしゃぎすぎて怪我するんじゃないのかな?
あ、明日の朝学校集合だったよな…バスで飛行場行って飛行機で・・・
ん・・・?なんか忘れてる気がする・・・



あー!!!!!!!!;



ガタガタ!ドン!バタン!

バンッ!!
ドアを物凄い勢いで破るようにあけ亞騎の部屋に飛び込む

亞騎「なんや、うるさいなぁ・・・女の子なんやからもう少しおしとやかにせんt『うっさいわボケ!死なすど!!』
亞騎「なんか懐かしいなそれ。で、どうしたん?何焦ってんねん。まさか水着のサイズ合わなかったん?あっははドジやなぁー紗弥香は。まさか太ったn『しね!違うし!』
亞騎「せやからなんやねん」
紗弥香『亞騎!お前、部室からボールとかタオルとかその他諸々持って来てないだろ!』
亞騎「あ、せやなぁ・・・今から行くか?まだ七時半やし部活やってる連中はまだおるやろ?それに残業ばっかり残しとるきみちゃんも帰ってないと思うで?なんにしても俺は行かんでーもう眠い…」
紗弥香『じゃあ真珠と雪にも連絡して家からキャリバ持って行かなきゃいけないじゃん!結局私同伴じゃん!亞騎のバカ!しね!』
亞騎「そこまで言わんでもええやん・・・せめてアホにしといてや・・・バカはないやろ。っておらんし。はっや。」

亞騎に言いたい事を言ってケータイ片手に連絡を取りながら部活の荷物用にするキャリバを引っ張り急いで家を出た。



ごろごろとうるさい空のキャリーバックを引っ張りいつもの通学路を早足で覇渋中へ向かうとまだ部活をしている部員が校庭の中で動いているのが見えた。良かった、まだきみちゃんもいるかな?
部室の方へと急ぐとだれかが此方に手を振っているのを確認した。
真珠『せんぱーい!』
あぁ、少し遅れた…まぁ、家より真珠の家の方が学校に近いから仕方ないのだが夜に後輩を一人にさせてしまった事に小さな罪悪感が生まれる

紗弥香『ごめんごめん。あれ、雪くんは?』
吹雪「僕ならここにいるよ!」
雪「こ、こんばんは」
紗弥香『・・・警察に不審者見かけたって連絡しなきゃ!』
吹雪「ええっ!ちょっと待ってよ!僕は雪の兄だよ、大丈夫そこまで不審じゃない!」
紗弥香『そういえばそうだったな・・・』
吹雪「てきとうだね・・・もしかしたら君は僕が不審の塊だと思ってるんじゃないのかい?」
紗弥香『さて、と。夜に呼び出してごめんね?うちのばか亞騎が部活に使う道具持って来てないっていうもんでさ、今から荷物まとめるの手伝って欲しいんだよね・・・』
真珠『わかりました!リストにまとめとくと帰るとき確認しやすいですよね?』
雪「あ、じゃあ僕リストかくよ・・・?」
紗弥香『うん、お願い(笑)』
吹雪「そうかいそうかい、君達は今ツン期なんだね!そのうちに来るデレに期待しておくよ!」
紗弥香『吹雪ーコート見てきてー』
吹雪「あ、はい・・・」







――――――‥‥







パコーン・・・


パコーン・・・


吹雪「ん?誰か残って練習でもしてるのかな?」


簾「祐也先輩、そろそろへたってきた頃じゃないですか?息もだいぶ上がって、汗も凄いです、よ!」
パーン…
祐也「大丈夫だよ波川!俺のHPはまだ200くらいあるか、ら!」
パコーン・・・
簾「早くバテろコラ!」
パーン!
祐也「さっき‘いいきずぐすり’をだな・・・」






吹雪「なんで試合してんだろ?今日部活休みってなったのに・・・いけない人たちだね!


おーい、もう試合は終わってくださーい!」


っていうか、終わってくださいお願いします。終わる気配の無い先輩達を目の前になんだか虚しい気持ちになった。
颯「あれ、吹雪」
吹雪「あっ先輩!あの二人を止めてくださいよ!っていうかこのコートのめちゃめちゃはどうしたんですか?」
準「あの二人喧嘩初めてさー・・・制服のままでも関係ナシに始めちゃったくらいだから止めるのは難しいよー?」
颯「なんで吹雪はここにいるんだい?」
吹雪「じつは・・・・・


という事があったんですよ。」
準「早くしないと紗弥香に怒られるじゃんか!ばっか先に言えよ!
おーい!二人ともやめろ!やめないと・・・「バシュッ!!」へ?バシュ・・・?」

簾&祐也「「いってぇぇぇぇええ!!!!!」」

颯「止めろって、言ったんだけど・・・?(黒笑」


にっこりと笑う颯の手にはテニスボールがギリギリと握られ、もう片方にはラケットが握られていた。

吹雪は恐怖のあまり部室へ逃げ帰った。


雪「リスト終わりましたよー」
真珠『リスト通りに荷物も詰めました!』
紗弥香『んー、ありがとー』

バタン!と大きな音がして扉から吹雪がガクブルしながら入ってきた。
雪「おにいちゃん・・・?」
紗弥香『ドア壊れる・・・コートどうだったの?』
真珠『せんぱい?』
吹雪「なんか、その、先輩とかいた・・・」
紗弥香『じゃあボールもネットも張りっ放しって事だよね?はぁ…片付けにいこっか?』
真珠『そうですね、きみちゃん先生に怒られちゃいます・・・』

紗弥香『じゃあ行って来るからもう一回荷物の確認しておいてー』


吹雪「逝って、らっしゃい・・・」
雪「?」






このあと紗弥香が先輩にぶちぎれたのは言うまでも無い。
なにせコートがめちゃくちゃでボールも尋常じゃないくらいに散らかっていたのだから怒らないわけが無かった。
その騒ぎできみちゃんも飛んできて一緒に片付けたとかなんとか・・・






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