オーズの猛攻





全世界にマリンフォード頂上決戦の様子が報道されていたが、モニターのないフーシャ村では村の男が近くの島から映像伝達電々虫を買ってきて村中で見ていた。

「これからどうなるんだ…!」
「あのでかいのはなんなんだ!?」
「………」

ざわつく村人達。その中で村長とマキノだけが黙って見つめていた。すると、村の男が声を上げた。

「ソ、ソフィーさん!!駄目だ無理しちゃ!!」
「ソフィーさん!!」

そこにやってきたのは車椅子に座る初老の女性だった。村長とマキノが駆け寄る。

「村長…マキノちゃん…」
「ソフィーさん、寝てなきゃダメですよ!」
「…娘が戦場にいるの…寝てなんかいられないわ…」
「ソフィー…!!」

ソフィーと呼ばれた女性はモニターを見て、辛そうに言葉を紡いだ。





















「巨人部隊が動いたぞ!!!」
「狙いはリトルオーズJrだ!!!」
「うわあああ!!!」

マリンフォードでは巨人族の海兵達がオーズに狙いを付けた。

「人を見上げるのは初めての経験だ」
「まったく」
「アレを止めるのは我々の仕事」
「エースぐんはベッキーぢゃんと絶対に離れちゃいげねェんだ、ふだりはずっど一緒にいる」

そう呟いたオーズは軍艦を持ち上げてその脅威さを見せる。

「信じられん大きさだ!!!巨人族の倍を遥かに超えるぞ!!!」
「撃ち続けろ!!!これでも人間!!!効かん事はないっ!!!」


まさに魔人。オーズの力に圧倒される海兵達。エースは叫んだ。

「オーズ駄目だ!!!お前のデカさじゃあ標的にされるぞ!!!」
「エースぐん!!!今そごへ行ぐぞォオオ!!!」
「オーズ…!!」

ベッキーが叫ぶ。すると、オーズがベッキーを見た。

「ベッキーぢゃん…!!」
「オーズ!!」

「オーズが湾内への突破口を開いたぞォ!!!続けェ〜〜!!!」

一気に海賊達が攻め込んでいき、海兵達が怯む。そんな中、白ひげが呟く。

「オーズめ仕様のねェ奴だ。死にたがりと勇者は違うぞ」
「おやっざん!!!止めねェで欲じい!!!オイダ助げてェんだ!!!一刻も早ぐ!!!エース君助げてェんだよォ!!!」
「――わかってらァ……!!てめェら!!尻を拭ってやれ!!!オーズを援護しろォ!!!」
「オォ!!!」
「ベッキーを連れて行け!!!二人で処刑台に向かえ!!」
「オヤっざん…!!」
「オーズ!」

白ひげの言葉を聞いたベッキーが地を蹴り、高く飛びオーズの肩に乗った。

「ベッキーぢゃん、行ごう!!エースぐんを助けに!!」
「ええ!!」

襲いくる海兵達を薙ぎ倒すオーズ。ベッキーも圧力で応戦する。

「エースー!!!」
「エースぐん!!!」

それを見ていることしかできないエース。

「…ベッキー…オーズ…!!!」
「オーズ、処刑台はもうすぐよ!!」
「オォ!!!今行くぞエースぐん!!!」








だが、それは突然だった。





「“熊の衝撃<ウルススショック>”」
「!!?」





背後から凄まじい衝撃波。七武海のバーソロミュー・くまだった。

「きゃ!!!」

攻撃を受けたオーズはその中で必死にベッキーをかばい、ベッキーは崩れた城壁に飛び移った。

「オーズ!!!」
「オーズっオーズ!!!」

エースとベッキーが叫んだ。オーズが膝をつくと、背中にあったワラの笠がパサ、と落ちた。







それはエースとの思い出の品。処刑台で叫ぶエース。

「やめろ…!!!ここへは来れねェ…!!!」













「ごれは…?」

かつてエースはワラで編んだ笠をオーズに贈った。

「ワノ国で作り方を習ったんだ被ってみろ。お前は太陽に近いから」

それはエースの優しさによるものだった。太陽に近いオーズのために、エース自らが作ったもの。

「エースさんこれ2回も失敗してんだぜ!燃えてよ!!」
「自分が火なのにワラなんて編むから!」
「ああ…!これは涼じい!」
「そうか、よかった


にっ、とエースが笑顔を見せる。それが二人の仲を深め、笠はオーズの宝物となった。雨の日も雪の日もいつも外に出て笠を被る。それが日課だった。









そんなある日、エースがある人物を連れてきた。

「オーズ!お前に会わせたい奴がいるんだ。おれの彼女」

それがベッキーであった。

「はじめましてオーズ。ベッキーっていいます、よろしくね」
「女の子だ…オイダ、女の子ごんなに近くで見たのはじめでだ…」
「可愛いだろー」


嬉しそうに笑うエース。オーズは不思議そうに小さな小さなベッキーを見つめていた。その時から、オーズの中でベッキーとエースが一緒にいる姿が当たり前になってきて。
















オーズは血を流しながら必死に耐える。

「ハァ…ハァ…せめで…七武海一人でも…!!」
「ん?」

目線の先には七武海の一人、ドンキホーテ・ドフラミンゴ。思い切り拳を振り下ろし、ドフラミンゴを潰した。

「ウォオオオオオ」

その一撃でドフラミンゴが倒れたかに見えたが…








「!」
「フッフッフッフッフッ…フッフッフッフッフッ!!」
「!?」

華麗に宙を舞うドフラミンゴはただ笑うばかり。オーズの頭上に来た時……
















「!!!?」
「面白ェ!!!フッフッフッフッフッフッ!!!」
「!!!オーズ!!!」


突然、オーズの右足が切られたのだ。ドフラミンゴの能力は未だ未知数。バランスを崩したオーズは膝をつく。

「ウゥ。ハァ…ハァ…」
「オーズ!!!」
「!」
「ウゥ」
「広場へ踏み込んだぞォ!!!」

薄れゆく意識の中でオーズが処刑台に手を伸ばす。

「もうずごし…!!!」

そこにモリアが呟く。

「ドフラミンゴの野郎!!足を切っちまいやがってコイツの死体はおれがもらうってのに!!!行けっ!!!」

モリアの影のコウモリ達が飛んでいき…
















「“角刀影<つのトカゲ>”!!!」
「!!!」


モリアの影は真っ直ぐ







オーズを貫いた。






「…っオーズぅぅ!!!!」

城壁から飛び降りたベッキーが力の限り叫んだ。倒れる直前、オーズはそっと言葉を口にする。

「ベッキー…ぢゃ…ん…エースぐんを…救え…








ベッキーぢゃんなら…でぎる…」

そう言って彼は力尽きた。

「…っ




オーズ――――――!!!!」




オーズの猛攻





■あとがき
オーズ、ついに倒れる!!オーズとエースの過去は何度見ても泣けますよ…!!


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