エンディング2











今、ひとりの女性の人生が終わろうとしている。彼女は壮絶な人生を生き、安らかに眠りにつこうとしていた。もう人生にやることはなく…思い残すこともなかった。息子も今では立派に大海賊として名を馳せている……



















彼女が気がつくと、大きな船の前にいた。懐かしい…大きな白鯨の船。若い頃、何度も上り下りした縄梯子を登り、目にしたものは…






大好きな“家族”の面々だった。全員がもう既にこの世にはいない。女性が驚いていると、ナース達に泣きながら抱きつかれた。彼女達も戦争の際、避難をしていて、そのまま会えなかった者達もいる。次にクルー達が皆集まってきた。その中で、彼女を強く抱きしめたのはサッチだ。もはや涙や鼻水を流しながらで、まわりに笑われている。彼がティーチに殺されたことですべてが始まった…女性は苦笑いしてサッチを抱き返した。ようやく解放してもらい、ゆっくり甲板の奥へ歩いていけば皆が笑顔で迎えてくれる。ビスタが優雅にお辞儀をしたので、彼女もネグリジェの裾を持ってレディーのように挨拶を返す。イゾウとハルタが手を振れば振り返す。何もかもあの頃と変わらない。





そして




甲板の奥にいたのは彼女がずっと会いたかった……




実父白ひげと、夫…エースの笑顔。エースも歩み寄って、そっと…手を差し出した。




その手を取った彼女の姿は――もうあの頃の、若いベッキーに戻っていた。嬉しそうにベッキーが頬を染めて笑うとエースも笑い返し、彼女を抱き上げてくるりと一回転してみせた。それを見たクルー達が一気に歓声をあげ、白ひげは穏やかに見つめていた。





――…帰ってきたな、我が娘よ…






よく戻ってきた……!!








…これで白ひげ海賊団すべてが揃った。もう何も失うものは無い……“あの世”でモビーディック号は冥界の海を旅する冒険に出る。エースはベッキーの頬をそっと撫で、笑顔で言った。



――おれ達の子を立派に育ててくれてありがとう…!!もうこれからは二度と離れない、おれとお前はひとつ。…愛してるよ。













――…エース…!!
















モビーディック号が海を渡っていく。この世のものではない、海だけど……





もう何も失うことなく、永遠に一緒にいられる。







海原を見つめ、船首に佇む…暖かな腕に抱かれて、キスをする二人。



愛する家族。愛する父。愛する夫。ようやく彼女は取り戻したのだ…








彼女にとって最も人生で輝いた宝を。










END






■あとがき
ついに連載完結致しました。ここまで読んでくださった皆様、お疲れ様です。そしてありがとうございました!!
エースの死という衝撃的な状況からこの連載を始めようと思いまして、ようやく終わりました。
ベッキーの立場が本当に可哀想なんですがやはりあの状況下ではこうなってしまうんではないかと…
ですが、子供という存在で少しは救われるのではないかと!
今後はエースシリーズ夢とか絵とかネタ画でエースとラブラブなお話をちまちま書いていこうかと思います。
連載読んでいただきありがとうございました。


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