送り出す命





「海軍本部が崩壊するぞ〜〜〜っ!!!」
「持ち場を離れろォ!!!もうダメだァ〜〜〜〜っ!!!」
「何百年もこの世界の海を守り続けた、正義の要塞が何て姿に…!!!」

もはや海軍本部は崩壊直前。白ひげの地震の上にさらにティーチの起こした地震。それはシャボンディ諸島の人々も信じられないといった表情を浮かべていた。

「“火拳のエース”を捕らえてこの戦争の引き鉄を引いた海賊“黒ひげ”が、“白ひげ”の『能力』を手に入れた…!!!」
「………どうなるんだよォ……


この世界!!!」















「ゼハハハハハハハハハ!!!!」
「………!!!」
「力が!!!…体の中から湧き上がってきやがる…!!!なんてすげェ能力だ!!!この世の全てを思い通りにできそうだ!!!…どれ手始めに……、このマリンフォードでも沈めて行こうか…!!!」
「!!?」


完全にティーチは時代に君臨し、マリンフォード破壊を目論んでいる。誰も止められない――…そう思っていると、

「なにを……!!!」
「!!」
「………」
「ん?」










「!!?」



そのティーチに衝撃波で攻撃したのは仏像の姿になったセンゴクだった。さすがにその攻撃はティーチ達にも効いている。

「ぐわァアア!!くゥっ……!!!…………!衝撃波……!!!」
「――要塞なら……また建て直せばいい……しかし…ここは世界のほぼ中心に位置する島マリンフォード」
「………!!」
「悪党共の横行を恐れる世界中の人々にとっては、


ここに我々がいる事に意味があるのだ!!!仁義という名の“正義”は滅びん!!!軽々しくここを沈めるなどと口にするな青二才がァ!!!!」
「…ゼハハハ…じゃあ…オイ…、守ってみろよ…!!!」


















赤犬は台風をマグマで消し去ると再びベッキーと対峙する。

「つまらんマネをするのう、白ひげの娘……王女!!!」
「くっ…」
「おどきプリンセスガール!!!」
「!!!」

そこに飛び込んできたのはイワさんとイナズマだ。ふたりの攻撃が赤犬に当たるものの、赤犬のマグマにしてやられてしまう。

「イナズマさん!!!!」
「イワ様ァ〜〜〜〜〜〜っ!!!」

「この……!!!」

インペルダウンから脱獄してきたニューカマー達が赤犬に銃を発射するが、やはり効かない。

「……。ジンベエ…渡さんかいドラゴンの息子をォ…」
「ハァ…ハァ…海へ出ればわしの土俵じゃ!!!逃げ切れる!!」
「ジンベエ、早く海へ!!!」

ベッキーが叫ぶ。ところが、途端に海は氷へと変わる。

「!!?………!!しまった……!!氷か!!!」
「すまんねジンベエ…」
「青雉!!!」

そこには青雉の姿が見えた。ベッキーが叫ぶとニューカマー達がベッキーを庇ってマグマの攻撃にさらされる。その上を赤犬が越えていき、ジンベエを追う。

「来たか!!」







赤犬は素早い動きでジンベエのもとまで飛ぶと、その胸をエースの時のように貫いた。

「!!!」
「ジンベエ!!!ルフィ!!!」


マグマの拳はジンベエを貫いてルフィにまで届いてしまう。ルフィは未だ意識が戻らない…

「ジンベエ!!!」
「アアアッ!!!」
「……!ジンベエを貫通してエースの弟を!!!」
「……!!!」
「命あんのか!!?」
「邪魔しよるのうジンベエ!!」

氷に着地する赤犬。ジンベエはルフィを必死に守りながら氷の上を転がった。

「!!!ウ…!!ルフィ君………ハァすまん!!!………!!!更なる傷を負わせた…!!!」
「ジンベエ!!!」
「ダメだ王女さん、アンタも傷が!!!」

助けに行こうとしたベッキーだが、ニューカマーに止められてしまう。

「おどれ人の心配しちょる場合かァ…!!貴様が邪魔でちょっと外したかのう…心臓を貫けば、楽じゃったろうに。なァジンベエ。胸の抉れたそいつをまだ守るんか……直死ぬぞ」

まさに絶体絶命のジンベエとルフィ。





だがその時、赤犬の体を砂が貫いた。



「!!!?」

ベッキーが砂を放った人物を見る。

「あれは…元七武海…サー・クロコダイル!!」
「クロコダイル!!!」
「“砂嵐<サーブルス>”!!!」

さらにクロコダイルは砂嵐を起こし、ジンベエとルフィを空へ巻き上げた。

「誰か受け取ってさっさと船に乗せちまえ!!!」
「!!」
「お…!!おう!!!」
「クロコ…ダイル……!!」
「守りてェもんはしっかり守りやがれ!!!これ以上こいつらの思い通りにさせんじゃねェよ!!!」

クロコダイルは叫んだ。ジンベエとルフィは宙に飛ばされていく。下では海賊達が必死に受けとめようとわらわら集まってきた。だが、妙な事にジンベエ達は落ちてこない。実は偶然、空中で逃げようとしていたバギーが受け止めていたのだ。

「!どわー!!!なんか飛んできたァ!!!」
「え?空で止まった!!」
「ええ〜〜〜〜!??」
「キャプテン・バギー!!!」
「麦わらとジンベエを助けた!!!」
「あ?」
「……!!あんた逃げると見せかけて、脱獄の同志麦わらを助けるなんて」
「尊いよォ〜〜〜!!!」
「アンタ尊くて!!眩しいよォ〜〜〜!!!」

バギーを崇拝するインペルダウンの脱獄囚達は涙を流しているがバギーはよくわからないままだ。

「は??うお―――っ!!!ジンベエに麦わらァ!!?」
「……」
「どういう経緯で血塗れで空を飛んできやがったんだお前ら!!」


抱えているのがジンベエとルフィだとわかるとバギーは驚く。ところがそこにもマグマの拳が…

「ギャ―――――――!!!マグマ〜〜!!?」
「…すまん“赤鼻”のォ…助かった――しかしルフィ君に深手を…負わせてしもうた。すぐに手当てを……!!ハァ」
「何だか知らねェうるせェよ!!助けて欲しいのはおれだバカ野郎!!手当てなんかこんな所で…誰が赤っ鼻じゃクラァ!!」

ベッキーは空中を逃げるバギー達を見つめる。

「バギー…!!」
「ベッキー!!」

すると、ベッキーを抱きかかえたのはブレンハイムだった。そして周りに感じる人の気配……温かく、大好きな人達…家族の…。彼らは赤犬の前に立ちはだかった

「……揃いも揃って…あの麦わら小僧と、その白ひげの娘の為に命落としたいんか」

ビスタが剣を構えて言う。

「おれ達は全員…あいつの持つ底知れねェ、執念と力を目の当たりにした…」
「エースが守り…オヤジが認めた男と、愛した娘……そしてまだ見ぬエースの子をおれ達は新しい時代へ、送ってやる義務がある!!!」
「お前らともあろう者らが…大層じゃのう!!!

“白ひげ海賊団”!!!」

「み…みんな……」

ブレンハイムに抱えられながらベッキーは白ひげ海賊団の面々を見つめた。

「赤犬…!!お前が今殺しておきたいと思うあいつと…このベッキー…その子供の“危険度”と、おれ達が生かしてやりたいと思う大層な“期待値”は同じじゃねェのかよい!!」

青い炎を纏って言うマルコの目は強いものだ。赤犬はそれを見返し、マグマを噴き出させる。

「もはや言葉で治るモンじゃありゃあせんのう…好きにせい!!!」













取り残された囚人達や海賊達は同時に起きる二つの戦いに挟まれていた。

「うわあああっちじゃセンゴクと“黒ひげ”、こっちで赤犬と隊長達!!!戦いが終わらねェよォ〜〜〜!!」

バギーもどこへ逃げていいのかわからずジンベエとルフィを抱えて宙を浮いているだけだ。





そんな時……現れたのは…

「え!!?」
「何だ海の中から船!!?」

氷の無い一部の海に、一隻の潜水艦が姿を現したのだ。

「………!!?潜水艦!!?」
「誰の船だ!!?」

この場にはいるはずのない、ある海賊の船。そのマークはとても印象深い。バギーもその船を見た。

「ん?」
「麦わら屋をこっちへ乗せろ!!!」
「ム・ギ・ワラヤ〜〜!!?あァ!!?てめェ誰だ小僧!!」
「……麦わら屋とはいずれは敵だが悪縁も縁。こんな所で死なれてもつまらねェ!!」
「いいからこっちに麦わらクンを渡して!!!」

甲板に出てきた船長らしき若い男、その隣には若い美女…後ろには揃いの制服を着たクルーと、大男…さらに二本足で立つクマ。それはルフィがかつてシャボンディ諸島で会ったルーキーの一人…





「そいつをここから逃がす!!!一旦おれに預けろ!!!おれは医者だ!!!」

ハートの海賊団船長、億越えの賞金首であるトラファルガー・ロー。女の方は同じく億越えの女海賊、ハートの海賊団船医ラブネッシュ・リードだった。



送り出す命




■あとがき
久々!リード姉さん、なんと二年ぶりに登場しました。
いやぁ久しぶりすぎてキャラ掴めませんでしたがいかがでしたか。アニメで久々にローさん見たらキュンとしました。懐かしすぎるよローさん!!!ってかローさんってエースより年上なんだろうか。ベポもかわいかったです!
そして話はついにアニメに追いつきました。もうすぐ終わり!


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