地割れの先
――知ってるか?盃を交わすと兄弟になれるんだ!
おれ達は今日から
兄弟だ!!
「ウソだろ!!?オイ!!」
「……!!エ…」
「エース…」
「エース〜〜〜〜〜!!!!」
「……!!“火拳のエース”が死んだ!!」」
息をのむシャボンディ諸島の人々。エースは赤犬の攻撃で死んだ――…それはもう変えようのない事実……。
「エー……ス……!!!」
ベッキーは涙を流すことさえできなかった。倒れているエースはもう息をしていないなんて、…もう抱きしめてくれないなんて。だがハッとしてルフィを見た。ルフィはエースの死で精神が崩れていたのだ。
「!!…」
「麦わらボーイ!!!(ダメナブル!!!精神が崩れた!!!命が危ないっ!!!)」
「!!!ん!!?」
そこに再び赤犬が追撃してくる。
「!!!」
「赤犬だ!!!」
「次こそお前じゃァ“麦わら”!!!」
だが、その攻撃を止めたのはマルコの青い炎。
「コイツの命はやらねェ!!!」
「!!?」
「マルコ隊長っ!!!」
マルコは必死に赤犬に向かっていきながら叫んだ。
「ベッキーとエースの弟を連れてけよい!!ジンベエ!!」
「わかった!!!」
「その命達こそ…!!生けるエースの“意思”だ!!!そして…エースの命を継ぐ子供!!!エースに代わっておれ達が必ず守り抜く!!!もし死なせたら“白ひげ海賊団”の恥と思え!!!」
「ウオオオオォ〜〜!!!」
「ベッキーさん、ルフィ君気をしっかり持て!!!」
「夫婦、兄弟二人共逃がさんと、言うたハズじゃ……!!!」
ジンベエはベッキーとルフィを抱えて走り出した。そして赤犬はそれを逃がさないと追おうとしたが…
「赤犬さん!!!危ないっ!!!」
「ん?」
赤犬の背後に現れたのは…白ひげだった。
「……………!!」
ドン!!
白ひげは凄まじい力で赤犬に攻撃を落としたのだ。
「…ぐうウッ!!!ゲホ」
「オ…オヤジが怒ってる……!!」
「みんなここから離れろォ!!!」
言葉なき怒り。愛する息子を殺したこの男を生かしておかない……まさに白ひげの心は怒りに満ちていた。赤犬は負傷しながらも攻撃を放つ。
「“冥狗”」
マグマの拳が白ひげの顔半分を削り落とした。
「ひィー!!!オヤジィ〜〜!!!」
だが、それでもなお白ひげの攻撃が赤犬の脇腹に命中する。同時に海軍本部が大きく割れて今までにない地震が起きた。そして赤犬は大きな地割れの中に落ちていく。
「ゲホッ、おんどれェ…
“白ひげ”ェエ!!!」
「サカズキ大将が!!!」
なんとか赤犬を退けたものの、もう海軍本部は崩壊しかけており、白ひげの体も…。
「………ハァ」
「オヤジ……!!!ハァ、ハァ」
「そんな……」
その大きな地割れは海兵達と白ひげ…そして海賊達を二つに裂けていた。
「完全にオヤジと隔離されちまった!!!」
「広場が真っ二つに裂けた!!!海賊達が向こう岸に!!!」
「オヤジィ〜〜〜〜!!!」
白ひげは完全に海賊達を引き離す気だ。センゴクは白ひげを見つめる。
「顔半分失って…!!まだこんな力を…!!!」
「まだまだ!!!」
「オヤジィ!!!エース〜〜!!!」
「悲しむなら船の上だ!!!」
「急げェ!!!船に乗り込めェ〜〜!!!」
「動く船は全て湾頭につけろ!!!」
海賊達は必死に逃げるために船を移動させる。全てはオヤジの命令通り…。ハンコックもサロメに乗ってルフィのもとへ向かう。
「サロメ!わらわルフィが心配でならぬ!」
戦争も終盤――…エースが死に、白ひげが海賊達を逃がすためにたった一人で海軍に立ち向かう。ルフィは意識を失い、ベッキーも放心状態…。そんな時だった。
「え」
「おい…アレ…何だありゃァ」
何人かの海兵達がソレに気付き、声を出した。
「本部要塞の陰に何かいるぞォ!!!」
「あ。見つかっつった」
「え!?…あいつまさか…!!」
そこには巨人族…そしてオーズよりも遥かに大きいであろう、巨大な男がいたのだ。しかも着ているのはインペルダウンの囚人服。
「それだけじゃない!!処刑台の上にいるのは誰だ…!!」
「おお…やっと気づきやがった」
破壊された処刑台の上……数人の人影が見えた。それは海兵でも白ひげ海賊団でもなかった……本来ならばこの戦争にいるはずのない者達。センゴクは目を見開いた。
「……!!!貴様らが!!!…一体どうやってここに!!?」
「てめェ…」
その中心人物である男を白ひげは鋭い眼光で睨みつけた…。
「“黒ひげ海賊団”!!!?」
「ゼハハハハハ!!!
久しいな!!!…死に目に会えそうでよかったぜオヤジィ!!!」
「ティーチ……!!!」
地割れの先
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