処刑台への道





ガープが橋の上に飛び乗ってきたため、橋にヒビが入る。ルフィの実の祖父…ガープ。

「お前が生まれる遥か昔から、わしは海賊達と戦ってきた!!!」
「!!」
「ここを通りたくばわしを殺してでも通れ!!!“麦わらのルフィ”!!!」
「!!!」

今ここでは――祖父と孫ではない。海兵と海賊なのだ。エースもそれを見つめる。

「ジジイ」
「それがお前達の、選んだ道じゃァ!!!」






「甘ったれるな!!お前は誰よりも強い海兵になるんじゃ」
「イデェー!!」
「おじいちゃん、いーたーいー!!!」
「ルフィ、ベッキー!そんな気持ちじゃあすぐに海賊に殺されるぞ!!!」


幼少期、ガープにしごかれたルフィとベッキー。ソフィーから預けられたベッキーも孫同様にしつけたガープ。そしてエースも同じように…三人にとってガープはまさに祖父だった。

「できねェよじいちゃん!!!どいてくれェ!!!」
「できねばエースは死ぬだけだ!!!」
「いやだァ!!!」
「いやな事などいくらでも起きる!!!わしゃあ容赦せんぞ!!!



ルフィお前を、敵とみなす!!!」

ガープの拳がルフィに向かっていく。そしてルフィもギアセカンドを発動する………





――無邪気で明るい笑顔を見せたルフィ。

――愛らしく可憐に笑ったベッキー。

――つれない態度をとりながらも優しいエース。



それぞれの幼い頃の顔がガープの脳裏に浮かぶ。ベッキーが叫んだ。

「おじいちゃん、わかるでしょ!?…私は昔からずっとずっとエースが大好きだった!!今でも大好き…!!だから…どんなことをしても助けたいの!!!お願い…お願いだから

エースを殺さないで!!!!」
「……っ」


その言葉にガープは目を瞑ってしまった。

「ガープ!!」

その隙にルフィが…

「うわあああああああ!!!」
「!!!」


ルフィはガープを殴り倒した…!それでもなお、エースを助けるために。

「ガープ中将!!?」
「貴様も人の親だガープ…!!」







崩れゆく橋。見事にルフィが処刑台に着地した。

「ハァ、ハァ。鍵あるんだ待ってろ!!!ハァ…」
「ルフィお前!!!」

エースの錠を外そうとするルフィ。だが、それを見のが無い男がいた……

「見ろ!!センゴク元帥が能力を!!」
「初めて見た!!」

隣にいたセンゴクがいきなり巨大化し始めたのだ。これこそ海軍本部元帥センゴクの能力…ヒトヒトの実幻獣種モデル“大仏”だ。

「!!?」
「待て!!!私が逃がすと思うなァ!!!」

「………!!?センゴク!!?」

巨大化したセンゴクに驚きつつもルフィはハンコックからもらった鍵でエースの手錠を外そうとする。だが、それは黄猿のレーザーによって破壊されてしまった。

「ああっ!!!鍵!!!」
「構えろ!!」
「ああ…!!ああダメだ鍵がァ!!!」

鍵がなければエースを助けられない。ルフィが路頭に迷っていると…

「ん……!!………!!うゥ…何だいきなり気を失ってしまったガネ…!!!」

意識を取り戻した処刑執行人の一人。だがそれはルフィが見知った人物だったのだ。

「え!!?“3”何でここに!!?」

ルフィと共にインペルダウンからやってきたMr.3だ。いつの間に執行人と入れ替わったのだろうか。その間にもセンゴクが拳を振り上げて来る。

「私の手で処刑するのみ!!!」
「“ゴムゴムの”…おい3壁でエース守れ!!!」
「ギャ―――!!アレは何カネ!!?ギャアアア」

状況が掴めないMr.3は目の前の巨大なセンゴクに絶叫。ルフィは指を噛み、自らも巨大化をする。ルフィの体は風船のように丸くなり、センゴクの拳を防ぐ。

「“巨人の風船<ギガントフーセン>”!!!!」
「!!?」


Mr.3はロウの壁でエースを守り、攻撃を防ぐがセンゴクの一撃で処刑台が崩れていく。

「巨大化を…・・!!?」
「ぶ、ぶへェ――!!!」
「処刑台が崩れる!!!」
「何が起きた!!?」
「エースはまだ死んでないぞ!!!」
「落ちるぞォオ!!!」

処刑台が崩れて小さくなったルフィ、Mr.3、未だ手錠で繋がれたままのエースが落ちていく。海賊達は息を飲んだ。

「!!!」
「エース!!!ルフィ――!!!」

思わずベッキーは叫んだ。このままエースの手錠が外れなかったら間違いなく転落死だ。落ちながらMr.3は叫ぶ。

「錠を作る!!すぐに錠を外すのだガネ!!」
「わかった!!!」
「私がここにいる理由が…亡き同朋への弔いの為だとしたら、貴様私を笑うガネ!!!」
「笑うわけねェっ!!!」
「兄を救え!!!麦わら!!!」

ロウで作られた鍵をルフィに渡すMr.3。同時に海兵達の砲撃が処刑台に一斉に当たった。

「!!!!」

処刑台は噴煙に包まれた。三人の生死はわからない。誰もが処刑台を見つめていた。ベッキーは胸が裂ける思いだ。

「エース、ルフィ…!!!」

海兵達が警戒しながら処刑台に武器を構える。エースは自然系だが、海楼石の手錠をはめられた今、あんな攻撃を受けたら…

「火拳は生身だ生きちゃいない!!!」
「ん!?」

その時、落ちてきたのはエースの手を拘束していた海楼石の手錠だった。

「爆炎の中に!!炎のトンネルが…!!!」
「!!え…」






炎。その言葉にベッキーはハッとして見た。…煙の中に見える炎。何度も見てきた…これほどまでにエースの炎を見慣れているのはベッキーだけだろう。そして聞えてきた…愛しい声。






「お前は昔からそうさ



ルフィ!!!






おれの言う事もろくに聞かねェで







無茶ばっかりしやがって!!!」

そこにはルフィの服を掴んで炎を出しているエースの解放された姿だった。




「エース……!!!」



処刑台への道




■あとがき
ついにエース解放。盛り上がってまいりました。
ほんとにこのシーンあたりは寒気がしますね、解放されたー!って感じ(笑)


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