激戦のオリス広場





「討ち滅ぼせェ〜!!!『海軍本部』!!!」

白ひげ海賊団の士気は上がっていた。白ひげが薙刀を振るう。

「直線上には入るなよ」
「おお!!!」

ブゥー…ン、と薙刀に震動が込められる。思わず海兵達は怯む。

「もう一発来るぞ!!さっきのやつが!!」







「“アイスBALL”」


それを封じたのは青雉だ。白ひげが氷漬けにされる。

「凍った!!“白ひげ”が!!」

安堵を覚える海兵達。だが、氷の中で白ひげの目が動く。

「あらら…ダメかァ。“振動”は凍らねェなァどーも…」

青雉が呟くと、白ひげが氷を破壊して薙刀で青雉を刺す。

「!!“覇気”で刺した!!?死んだか!!青雉!!」
「NO〜!!バカ言っちゃいけねェよ」

さすがは青雉。やはりそれだけではダメなようだ。さらに青雉は氷の槍で白ひげを攻撃しようとする。

「“アイス塊”『両棘矛<パルチザン>』!!!」

氷の槍では白ひげにもダメージを与える。海賊達が慌て始めた時……

「んん?」

バリン!!と氷が割れる音。青雉を攻撃したのは3番隊隊長ダイヤモンド・ジョズだ。ジョズは白ひげを先に行かせ、青雉と対峙する。その頃、ルフィは疲労を見せ始めた。それでも必死に走る。

「ハァ、ハァ」

膝をついてしまうルフィ。その直後、ルフィの腹部を光が貫いた。

「あ」

同時に起きる凄まじい爆発でルフィが吹き飛ばされる。そこに現れたのは黄猿だ。

「度胸だけじゃねェ〜…麦わらのルフィ…“力”がねェのなら…救えねェもんは頑張ったって救えねェんだよォ…」

冷徹な言葉。ルフィは声も出せない。必死に言葉にしたのは…

「ハァ…ハァ…!!………エース……!!!」




黄猿はルフィを思い切り蹴飛ばした。









そんなルフィを受け止めたのは白ひげだった。近くにいた海賊が叫ぶ。

「エースの弟!!」
「……」

もうルフィは限界だ。そんなルフィを見つめる白ひげ。

「オオ…“白ひげ”の采配にも焼きが回ったねェ〜」
「……」
「おめェともあろう男が……!!そんな無謀なだけのゴミクズと……可愛いだけでなんの力もない娘に先陣を切らすとはねェ〜…」
「………」

ルフィは自分の腕の中で死にかけており、ベッキーはマルコに庇われながらひどいケガを負っている。黄猿の言葉になにも言わない白ひげ。すると…






「いたっチャブル!!!麦わらボーイ!!あそこよジンベエ!!!」
「!?」
「誰だ!?」
「どこから声が…!!?」

聞えてきた声はイワさんのものだった。だがどこから声がするのか…



「それ見た事かァ!!!だから言わんコフッチャナッシブル!!!」

包囲壁の真上には巨大な顔をしたイワさんがいた。隣にはジンベエ。

「!!?」
「何だあの顔面のでかさ!!革命軍のイワンコフ!!」

驚く海賊達。イワさんはルフィに呼びかける。

「息はあんの!!?麦わらボーイ!!!」
「………イワちゃん…」

そこでハッと気がついたルフィはバタバタ暴れる。

「ハァ…ハァ…放せ…オッサンおれは…!!」
「……コイツはもう充分やった手当てを」
「はい!!」

白ひげはルフィを海賊達に投げ渡す。もうルフィに戦闘は無理だと判断したのだろう。だがルフィは暴れた。

「く…!!いらねェ……!!!…そんな時間ねェよ!!」
「わ、おいおいやめろ!!!」
「邪魔すんな!!…エースは


エースはおれの、世界でたった一人の兄弟なんだぞ!!!」
「!!!」


立ち上がるルフィ。

「必ず…!!おれが助け…」

だがすぐ倒れてしまう。もう体はとうに限界を超えている。ジンベエが駆け寄った。

「ルフィ君!!おい!!すまん船医何とか命をつないでくれ!!」
「ジンベエ!」

白ひげ海賊団の船医がルフィの手当てを始める。それを見ていた白ひげは言った。

「ほざくだけの威勢の塊……!!


若く…無様…!!!


――…そういうバカは好きだぜ」


エース、ベッキーと同じ…。後先考えずに目的のために走り続けるような若き子ら。白ひげはさらに追撃を始めた。その一撃をマグマで止めたのは…赤犬。

「――そう好き勝手暴れて貰うちゃァ、この島がもたんわィ…!!!」
「グララ…守ってみろ」

震動とマグマがぶつかり合う。まさに頂上決戦。戦争は激しさを増し、海賊達と海軍の前面衝突。激戦だった。そんな中、マルコはベッキーを庇いながら戦いを続けていた。

「ハァ、ハァ、マルコ!」
「ベッキー、大丈夫かよいっ!?すぐ手当てを!!」
「ハァ、私の事はいい…エースを!!」
「!?」
「エースを助けて!!!」

ベッキーはマルコの服にしがみついて叫ぶ。

「エースを助けに行って!!」
「不死鳥マルコォ!!!白い王女!!!」

そこへ海兵が襲いかかってくる。それをベッキーは渾身の力で蹴り飛ばし、一撃で十数人を薙ぎ倒す。

「私は大丈夫、戦える!!はやく!!!」
「…っ待ってろよい、エース」

一瞬辛そうな表情をしたがマルコは不死鳥の姿になって処刑台へ飛び立つ。誰もが希望を心に芽生えさせた。









その瞬間





「ぬうェい!!!」
「!!?」


マルコを殴り飛ばしたのはガープだ。

「マルコ隊長!!」
「………!!」

思わぬ妨害にマルコは舌打ちする。

「――誰が自分から出ろと言ったんだ…」
「とうとう出てきた……!!伝説の海兵が…!!」
「ジジイ……」

エースがガープを見つめる。

「ガープだ!!」

その名は海賊達の中でも有名。伝説の海兵…

「ハァ、ハァ…おじいちゃん……!!!」

ベッキーも驚いて見つめるしかできない。ずっと家族だったエースやベッキーにとってこの戦い…想像以上に辛いものになる。

「…ガープ…!!」






「ここを通りたきゃあ…わしを殺していけい!!!


ガキ共!!」




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