海軍の戦略





「七武海のバーソロミュー・くま!!!」
「何でくまが何人もいるんだよっ!!!」
「どうなってんだ!?」

突如現れた数十人のくまに驚く海賊達。

「時々噂を聞くぞ!!Dr.ベカパンクが今『人間兵器』を開発中で色んな事件に度々実験体を送り込んでいると…!!」
「なぜみんなくまの姿なんだ!?」

パシフィスタ達をまとめる戦桃丸は電々虫で黄猿に連絡を取る。

「わいらが出る頃にゃ海賊達は湾内に追い込めるようになってると聞いたが随分バラけてるぞ!!」

その言葉に海賊達は白ひげがこれに気付いていたことを知る。

「海軍はおれ達を湾内に追い詰めて取り囲むつもりだったんだな」
「白ひげのオヤッさんが周りの軍艦から討ち崩せと言ったのはこういうことか。コレを読んでたんだ!!」
「おかげで包囲されずに済んだ!!!」

そこでセンゴクが叫ぶ。

「左右は崩れても縦にはさみ撃つ事はできる!!予定通り傘下の海賊達から狙え!!“包囲枠”から外れた者達を始末せよ!!!白ひげ海賊団と対峙している海兵は総員、王女を優先しろ!!」
「えっ!?」
「!!!」

今まで黙っていたエースがびくり、と反応した。

「!!」
「海軍ども、ベッキーを腹の子供ごと消す気か!!!」
「そうはさせるかァア!!!みんな、ベッキーを守れ!!」

賛同する白ひげ海賊団と傘下の海賊達。海軍として、真っ先に消しておかなければならない存在のベッキー。海賊王の血筋だけではない、白ひげの血筋まで次世代に続かせるわけにはいかないのだ。

「オジキ、軍艦も壊れるがいいか?」
「最小限でねェ…」
「始めるぞ!!!」

戦桃丸の一言でパシフィスタの攻撃が開始される。まさにその絵は地獄図。とても太刀打ちできない。その様子を見て白ひげが呟き、命令する。

「己らの犠牲も厭わんか…!!後方の敵に構うな野郎共ォ!!!ベッキーを守り、一気に広場へ攻め込むぞォ――――っ!!!」
「ウオオオオ!!!」

こんな時でも“オヤジ”の一言で白ひげ海賊団はまとまる。そして父親としても赤ん坊を抱えた体のベッキーは心配でたまらない。いくら薬で体を騙していたとても腹部を攻撃されたらおしまいだ。赤ん坊の命はもちろん、ベッキー自身だって危なくなる。そんな中、センゴクが海兵に伝えた。

「全隊直ちに氷上を離れろっ!!!海賊達を決して広場に上げるなァ!!!」

それを合図に海兵達が退いていく。同時に映像電々虫の映像がブツリと途切れ、世界中の人々に情報が伝わらなくなる。

「全ての映像が切れた時点で『包囲壁』を作動!!!そのあとすぐにエースの処刑と共に敵を一網打尽にする!!!」
「了解」

砲撃や刀の音。エースは何もすること出来ずに見ているしかない。

「エースがやべェ!!!急がねェと、ハァ」
「エース!!!」

海兵を殴り飛ばしたルフィと蹴り飛ばしたベッキー。だがいきなりルフィが吹っ飛ばされる。

「振り出しに戻りなよォ〜〜…」
「!!!?」
「ルフィ!!!…ハァ、大将黄猿!!!お前!!」
「女の子相手に手荒な真似はしたくないんだけどねェ〜〜…」

ベッキーは軽くジャンプをし、その足で黄猿を蹴飛ばす。

「!オォ〜…自然系のわっしに攻撃を。『圧力』と『覇気』ねェ〜…」
「こんなんじゃ足りない!!!」
「もう諦めたらいいよォ〜…火拳のエースは助からない。無駄ってもんだよォ」
「誰が諦める、かっ!!!」

飛ばされたルフィを受け止めたのはジンベエ。

「!!ルフィ君っ!!!」
「…ぶへっ…ハァ…!!ジンベエ!!ゼェ、…大将が出てきた…くそォ!!」
「手強いが急ごう!!どれだけの強敵が道を塞いでくるかそんな事は始めから知ってここへ来たハズじゃろう!!」





その時。



「エースの弟!!もう体力切れか!?」
「え!?」

エースの前に走っていったのは16番隊隊長イゾウだ。

「おお隊長達じゃ…!!こりゃあ百人力」
「大将一人に止められてんじゃねェ!!一緒に来い!!!」
「海兵共が退いてく今はチャンスだ!!一気に突破するぞォ!!!」

それは白ひげ海賊団の隊長達。イゾウの他、ナミュール、キングデュー、ブレンハイム、フォッサ、スピード・ジルもいる。

「ハァ、よォしあんにゃろうめ…!!!ハァ」
「!!みんな!!」
「ベッキー任せな!!ここはおれ達が!!」
「オー…こりゃあ手強いねェ…」
「エースは絶対に殺させないわ!!!」

ベッキーが強く黄猿を睨むと同時にベッキーと黄猿、二人の蹴りがぶつかった。同じ足技を得意とする者、圧力と光。どちらも互角だ。

「オォ〜…やるねェ〜〜…」
「くっ…!!!」










その頃、モビーディック号の上。白ひげの後部に現れたのはスクアードだ。

「スクアード!無事だったか。さっきてめェに連絡を」
「ああ、すいません。オヤッさん!後方傘下の海賊団はえらいやられ様だ……!!ハァ」
「持てる戦力は全てぶつけて来る……!!後ろから追われるんなら望む所だ。おれも出る!!こっちも一気に攻め込む他にねェ!!!」
「そうですね。おれ達も全員あんたにゃ大恩がある。白ひげ海賊団の為なら命もいらねェ!!」

そう言って刀の鞘を抜くスクアード。そんなスクアードの存在に気付くマルコ。

「ん?スクアードあんな所に…」

























次の瞬間






スクアードは白ひげの腹部に刀を突き刺したのだ。

「!!!!」


全ての者達が目を見開き、驚くしかない。何故、あのスクアードが?白ひげからも信頼された大渦蜘蛛海賊団の船長が…





海軍の戦略






■あとがき
海軍がやってしまいましたね。スクアードてめェェ!!!思わず叫びそうになる終わり方。
ようやく57巻終了…な、長!!一巻終わるのにどんだけかかってんだろう…!?バギーとか色々関係なさそうなとこははしょります(笑)。


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