海賊王の息子




「エースの処刑時刻が早まる!?確かにそう言ったのか!?」
「海軍の奴ら、エースを処刑してすべてを終わらせるつもり!?」
「なんかの準備ができてからって言ってたけど他は暗号でよくわかんなかった。エースを助けてェのは同じだからそれだけ教えといてやる!!」
「そうか…それは大事なことを聞いた。すまねェな…!!」
「いいんだ気にすんな」
((((なんであいつ“白ひげ”と対等に喋ってんだよ――――っ!!!何だあの自信!!!?)))))

世界一の大海賊白ひげと普通に喋るルフィを見てインペルダウンの脱獄囚達は何も言えない。ルフィは叫びながらモビーディック号から飛び降りて走り出す。

「ルフィ!!」
「海賊相手に処刑時刻を守る必要はねェってわけか。何かの準備の後ってのがカギだな…オイベッキー、お前もあの小僧についていけ」
「わかってるっ!!」

ベッキーもルフィを追って走り出した。

「ルフィ!!」
「!ベッキー!」
「エースは処刑台の上、なんとかあそこまで行かなきゃ!!」

その時、黄猿が二人の前に立ちはだかる。

「お前を捕まえねェと天竜人がうるさくてねェ〜…麦わらのルフィ…」
「!」

シャボンディ諸島で麦わらの一味は黄猿に負けた。それがきっかけともなり、ルフィは今仲間達と離れ離れになってしまっている。黄猿の光の蹴りが放たれようとする。

「!!?」
「ルフィ、避けて!!!」
「た…大将“黄猿”だ!!!死んだぞ麦わらの奴っ!!!」

脱獄囚達が叫ぶ。










「“DEATH WINK”!!!」
「おわっ!!!」

突然、衝撃波で飛ばされるルフィ。そのおかげで黄猿の攻撃を免れた。

「何あの人!!?」
「プリンセスガールッッ!!!!説明してる暇は無いッチャブルよ!!!」
「危ねェっ!!ありがとうイワちゃん!!!」
「ヴァターシはヴァナタを死なせないことだっキャブルが使命なんだよ!!」

すると再び光が見えた。

「またか黄猿!!!!?いや違う!!!」

光を口から放とうとするのは七武海バーソロミュー・くま。

「くま!!!」
「あ!!あいつおれ達をバラバラにスッ飛ばした“くまみたいな奴”!!!」

くまは無差別に攻撃を開始し、イワさんやルフィ、ベッキーは必死に避ける。しかも、バーソロミュー・くまはイワさんと同じく革命軍の幹部だったのだ。その間にルフィの目の前にはアラバスタで妨害した大佐“黒檻のヒナ”がいた。

「逃がさないわよ!!“袷羽檻”!!!」

ヒナの両腕が檻となり、海兵ごとルフィとベッキーを囲む。

「檻!?あの人も能力者!?」
「お前!!アラバスタの時の奴だな!?」
「わたくしの体を通り過ぎる全ての物は……“緊縛<ロック>”される!!」
「もう“檻の中”はコリた!!!ベッキー!!」
「わかった!」

ルフィとベッキーがヒナの檻から素早い動きで抜け出す。

「!!!速い!!見えなかった……!!ヒナ不覚!!」

再び走り出す二人だが、海兵がルフィに斬りかかる。

「止まれ!!」
「ぐわっ!!!」
「“重蹴<ヘビートゥー>”!!!」

海兵を蹴飛ばすベッキー。

「ルフィ、大丈夫!?」
「ああ!!ありがとう!!!」

さらにゲッコー・モリアがゾンビ兵を作り出し、ルフィに向かって襲わせる。

「麦わらァ…!!相変わらず威勢がいい…そうだ!!またお前の影を切り取って!!オーズを動かすとしよう!!!」
「うわっ!!」

海兵に斬られかけるルフィ。

「ルフィ…!!」

それを見たエースが叫ぶ。海兵、モリアらがルフィとベッキーを狙う。エースはたまらなくなって叫んだ。

「来るな!!ルフィ〜〜〜〜〜!!!」
「え…!!!うっ!!どけよ!!」

ルフィは海兵を殴り飛ばしながらエースを見た。

「わかってるハズだぞ!!おれもお前も海賊なんだ!!思うままに海へ進んだハズだ!!!おれにはおれの冒険がある!!!おれにはおれの仲間がいる!!!おれにはおれの女がいる!!!」
「エース…」
「エースを救え――!!!」
「お前に立ち入られる筋合いはねェ!!!お前みてェな弱虫が!!!おれを助けに来るなんてそれをおれが許すとでも思ってんのか!!?こんな屈辱はねェ!!!帰れよルフィ!!!!なぜ来たんだ!!!」
「エースさん…」

ルフィとは別の道を歩んだ身。だからこそルフィを巻き込みたくはなかった。

(頼むルフィ…お前まで道連れにならねェでくれ……!!!lこれはおれの失態なんだ……!!!)
「エース…!!」

ベッキーがエースを見上げた。だがルフィが放った言葉は…











「おれは



弟だ!!!!」


「!!!」












「知ってるか?盃を交わすと兄弟になれるんだ!」










「これでおれ達は今日から





兄弟だ!!!」










「海賊のルールなんておれは知らねェ!!!」
「わからず屋が…」

顔をしかめるエース。海兵達はルフィの言葉に騒然としていた。

「今確かに弟だって」
「じゃあいつもロジャーの!?」
「エースが生まれて両親共死んだんだぞ!」
「弟なんているわけねェ!!!」

ゾンビ兵はジンベエが食い止める。センゴクが通信で叫んだ。

「何をしているたかだかルーキー一人に戦況を左右されるな!!!その男もまた未来の『有害因子』!!幼い頃、エースとベッキーと共に育った義兄弟でありその血筋は





『革命家』ドラゴンの実の息子だ!!!」

巨人の海兵に対し、ルフィが腕を巨大化させる。センゴクの言葉は全世界にまた衝撃を与えることになる。

「………!!?」
「あのドラゴンの!!?」
「はああ!!?」
「言っちまった――!!」
「ルフィさん……!!」
「!!!」
「今更何も驚きはしない」
(そなたが鬼の子であろうとわらわは…)
「そうかそれで革命軍のイワンコフも協力を!!合点がいったぜ」
「そうじゃったのか…」
「…これでローグタウンでの謎が解けた…」
「聞いたかおい!!!」
「構わん…もう隠す必要もないわい…ルフィはすでにそんなレッテル物ともせん程の無法者…!!」

ひとり、ガープが静かに呟いた。

「オオオオ!!!」

巨人のカナヅチがルフィに振り下ろされようとするが…


「“ゴムゴムの”ォ〜〜〜〜!!!」
「!!?」





「“巨人の回転弾<ギガント・ライフル>”!!!!」

ルフィの巨大な腕は巨人をも倒した。海賊達が歓声を上げる。

「好きなだけ何とでも言えェ!!!おれは死んでも助けるぞォォ!!!」
「………!!!」
「マルコ…アレを死なすんじゃねェぞ…」
「了解」

マルコが白ひげの言葉にニッ、と笑った。ベッキーもルフィを見て、にこっと笑った。

「ルフィ…」
「ベッキー!!行こう!!!」
「うん!!




















……………うっ」

突然、ベッキーが倒れかけた。

「!!!」
「ベッキー!!?」
「ベッキーやられたのかァ!?」

ルフィも足を止め、海賊達が叫ぶ。

「!ベッキー!!」

エースが叫ぶ。

「攻撃を受けたのか!」
(いやそんなハズはねェ…!!ベッキーは攻撃を受けてはいなかった…!!!)

エースはずっとベッキーを見ていたからわかる。ベッキーは攻撃を受けたのではない。突然苦しみ始めたのだ。吐き気があるのか、口を押さえる。

「ベッキー!!しっかりしろよっ!!」
「ハァ…ハァ…」

呼びかけるルフィ。ベッキーの苦しみ方を見て白ひげやセンゴクはまさか、と思った。マルコも驚く。

「まさか――……」
「…オヤジ、あの苦しみ方は…!!!」
「…………」











すべての人々が直感した。女性だけが感じるあの苦痛…。



「ま、まさかあの女…」
「…ッビクトリア…!!!」

ガープがベッキーの名を呼んだ。

「ベッキー…そんな…!!!」

信じられない、といったエースの顔。センゴクが震えながら叫んだ。








「………ッ貴様ァアアア!!!!









火拳の子供を…身籠っているのかァアア!!!!」


ベッキーは膝をつきながら右手で口を、左手で腹部を必死に押さえていた……。



海賊王の息子





■あとがき
ベッキーが妊娠していたことが判明。次回、色々と解説します。


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