今日はu.s.sの皆で飲み会です。そしてハンクも来ました、呼びました。

私は師弟コンビに挟まれて座ってる。
右隣のベクターは中ジョッキ片手に不機嫌だった。

性格上、こういう席は好きではない上に先ほど酔っ払ったバーサに絡まれて機嫌は最悪だ。

どうにか御機嫌を取ろうと料理をせっせと皿に持ったり、次のお酒は何にするか聞いたりと甲斐甲斐しく世話を焼いてみてはいる…が、無理だ。

こっちを向いてさえくれない!





「ハンク、何か食べる?取るよ」


「…あぁ、ありがとう」





取り皿を手にして料理を盛ると、ハンクに手渡した。

ハンクはそのまま、フォークで刺してガツガツと食べる。





「ハンク、結構食べるよね」


「あぁ、動くからな」


「だよね、」





ベルトウェイが酔っ払ったバーサと肩を組んで揺れているのが見えて、ぎょっとした…出来上がってるな。

ルポ姉が止めに入ったけど、どうなる事やら。

ふと、右隣を見るとベクターが私の盛った料理をパクパクと口に含んでいた。





「あ、美味しい?」


「……………」


「ふつー、かな?」


「……………」


「あ、お酒頼むね。同じのでいっか」


「―五月蝿い。俺は機嫌が悪いんだ…黙っていろ、俺に構うな」





別に怒鳴られた訳じゃない。
低く、唸る様な声で拒絶されただけだ。

こんなの、久し振りだから少し動揺しただけ。
免疫、無くなってたかな…?



ポタッ ―





「ごめんっ、私もお酒が入ってるから…!気にしないで」





私は個室から飛び出して、店の外に出た。





「ベクター、機嫌が悪いからといってユキに当たるな。追わないのなら、私が行くぞ―」


「!」





ハンクがベクターにそう言った事など、私は知る由も無かった。







――――――――――







お酒を飲んでいるせいか、夜の風か頬に気持ち良い。
裏路地の壁に寄り掛かって、空を見上げるとキラキラと星が光っていた。

最近、優しくしてくれたからな ―





「油断してた、」


「……油断?」


「!?」





後ろから響いた声に、肩を揺らした。
同時に、肩に掛けられたのはベクターのジャケットだ。





「身体を冷やすぞ、戻れ」


「…あ、うん」


「………、……」


「そんなに、機嫌悪かった?」


「……………」


「バーサに頬にキスされたから?」





ピクッとベクターの眉が動いた。
ジロッとベクターの目が私を捉える。





「…お前が少しも妬かないからだっ!怒りの逃がし方を忘れた」


「あ、…そのバーサかなり酔ってたから…そりゃ、ムッとはしたけど」





ベクターが妬いて欲しかっただなんて、嬉し過ぎてにやける。





「消毒しろよ、早くしろ」


「あ、うん」





ベクターの前に行くと首に腕を回す。
頬に、ちゅっとキスをすると腰に腕を回された。

唇を離して至近距離で見つめ合うとベクターから私の唇にキスをしようとしたから、思わず避けた。




「なんだ?焦らす気か」


「違う、ほら…今したらベクターとバーサが…か、間接キスに」





そう言うと、ベクターは満足そうに笑って口角を上げた。
私の頬に手を添えて、反対側の頬に小さくキスをくれた。





「ホテルに行くぞ、一緒に風呂に入る」


「えぇっ!?」


「それから、恋人の様に愛し合うか―」







耳元で囁いてから、耳朶を甘噛みされた ―










end.






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