ハンクのほっぺにちゅーしてから、横のお兄さんの不機嫌さが半端ありません。

私達は恋人同士では無いので、互いに拘束力はないけれど…逆の立場でもやっぱり私もこうなると思う。

…それって、お互いに好きって証明な訳でありまして。

私はにやにやしてしまうのです。




「この際、マスターにしたらどうだ?」



だって、ベクターが妬いてる。



「お前の事をよく理解しているし、優しいからな」



私を見ようともしないんだもん。



「じゃ、本当にそうしようか」


「……………」





ベクターが僅かに目を見開いたのが解った。
自分で言ったくせに。





「ハンクのこと、嫌いじゃないしね」


「……勝手にしろ、」


「うん、勝手にするよ」





私に一瞥をくれたベクターの唇にちゅうっと吸い付いてみた。

なんでそんな驚くの?
私が好きなのは、アンタなのに。
私の手を掴んだベクターの瞳は、嫉妬の色に男を含ませて妖艶だった。





「…こんなんじゃ、足りん」


「なら、―」







今度は、好きにさせてあげるかな ―











end.





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