そこは怪しい施設の一室。机と椅子がずらりと並べられていて、正面にはスクリーンが下ろされている。それ以外は何もなく、がらんとした空間が広がっていた。
その真ん中にポツンと少年が座っていた。髪は真っ白でふわふわしており、右目が隠れている。体にはあちこちに包帯を巻いていた。
少年は何かを待つようにドアの方をじっと見つめていた。
すると、ドアが勢いよく開かれた。
入って来たのは少年と同様白い髪の少年だった。その少年の髪は毛先だけ灰色に染まっており、服はドクロの刺繍が入った黒のタンクトップを着ていた。
先に待っていた且座等が声をかける。
「遅かったね」
 漆間はその言葉にけだるそうに一つ返事をしてから且座等の隣に座った。
 時刻は午後二時。
漆間緑と且座等杜若はある人物に呼び出されていた。



 それは先日届いた手紙に支持されていた。
『久しぶりだね。
その件は、どうもありがとう。
我々一同、お二人にはとても感謝している。そして、とてもつらい思いをさせてしまい申し訳ない。
現在彼らは、我々が見守るなか療養中だ。
君たちにとって、思い出したくもない事件だったかもしれない。しかし、君たちなくしては解決できなかっただろう。
 そこで再び、君たちに協力を依頼したく、今回もこうして文を書かせてもらっている。
詳しくは、指定の場所で直接話そう。
君たちが来てくれることを、願う。 Lia』

 漆間がここに来たのは興味本位でしかなかった。本来、他人にものを頼まれるのは嫌いなタイプだ。
漆間は待ち時間にイラついて机をトントンと叩いていた。
 時刻はすでに定刻となっていった。
 しかし、いっこうに誰かが入ってくる気配はない。
(帰ろう……)
そう思った時、それはスクリーンに映し出された。

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