創作審神者あれこれ | ナノ
嘘を見破るヒト 三日月×陽凪

夜半過ぎ、門の前にて。息を殺し、気配を殺し、愛し子は戦装束に身を包んでいた。その身に纏うのは痛いほどの悲しみと決意。
「出立の用意は出来ているぞ」
「っ!三日月さん…!?」
「そんなに驚かなくてもよかろう?好いた女子の事を気にかけぬ男は居ない」
猫のような瞳が驚きで見開かれる。じわり、潤いが夜空を反射する。
「ありがとうございます。でも、貴方は連れて行けません」
ろくにこちらも見ないまま、彼女は再び門に向き合う。
「何故だ?俺では力になれぬと申すか」
「…そうです。だから」
来ないで。澄んだ鈴のような声に拒絶される前に、後ろから包み込む。ほっそりしているが鍛えられた身体は、小刻みに震えていた。あぁ、この子は怖がっているのに、何もかも一人でやろうというのか。
「何故俺を頼らない…!」
「充分、頼ってますよ…」
もう一度、礼を言って腕を解こうと身じろぐがそれは許さない。
穏やかで、優しい声音に、温かな体温。自分の腕で囲ってしまえば胸の中にすっぽりと収まってしまう小さな小さな主。自分はただ、この愛し子を護りたいだけなのに。
「駄目だ…紅緋だけ、行かせることは出来ない」
この子を傷つけさせはしない。たとえそれが、彼女の願わぬことでも。



診断メーカー 嘘を見破るヒトの話 より

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