[


部屋に帰ると 静かな空気が漂った。


高杉は星を眺め、桂はまた俺の髪でクルクルと遊んでいる。


「あのさ…なんでお前ら……俺に優しくすんの?本当には…みんなみたいに……」


なんか… ツライな……


言葉が詰まる。


「あんなヤツらと一緒にすんな」

そう言ったのは高杉だった。
こっちを見ずに、ただ星を見上げて。


「銀時… 優しくするのに 理由なんて必要なのか? ただ、友達だからじゃぁ ダメなのか?」


「………………」


なんだろう… 頭の中が整理できない。


でも、言えるのは



嬉しいってこと。



でも嬉しいとは違う。もっと強いもの。


この気持ちの表現ができない。



高杉も桂も 何もなかったかのように さっきと同じ動きをする。



すると、松陽先生の「おいでー」と声が聞こえた。


さっきいた 料理部屋へ行くと、いい香りがした。


お皿には 4つ、平べったいものに、白いふわふわが塗られていた。


「さ。座って」


そう言って座ると 高杉も桂も それを見て 「おいしそー」と言った。


俺は それが何なのかわからなくて、言葉が出なかった。



「銀時」


「?」


「「「誕生日おめでとう」」」


「?」


「なにわかんないって顔してんだよ!!この前決めただろ?」


「10日になった瞬間の予定が…30分も過ぎてしまった…。すまないね。銀時」


「誕生日…って……?」


なんだっけ……? なんで…こんなことしてくれるの?


「「「生まれてきてくれたことに、感謝する日」」」


なぜか、声を揃えて言ってくれた。


「ーーーっーー」


目が熱い。


「ーー……手、洗ってくる」



部屋を出ると、どんどん涙が溢れてきた。



『あんなヤツらと一緒にすんな』

「ん、ーーーっーー」


『優しくするのに 理由なんて必要なのか? ただ、友達だからじゃぁ ダメなのか?』



『『『生まれてきてくれてたことに 感謝する日』』』




はじめて、



言われた。



なんで、あいつらは……

こんなにも、俺を幸せにするんだろうか。






明るい光が灯った部屋の隣で、




嬉しすぎて涙が止まらなかった。





end

【次#】


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -