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屯所を出て見えたのは見たことのない景色。


天人が当然のように人に混ざって歩き、天人建造物や、宇宙船が目立った。



俺たちが、負けた証拠。



だから、天人に抵抗するやつは斬られるんだ。



何が正しいのかややこしい。



土方と道を歩いていると、遠くで「あっ」と短い声がした。



見るとそこに、眼鏡をかけた男と、チャイナ服の女がいた。


こいつらは確か…病院で見た気がする。



「あいつらは…」


「お前と一緒に住んでるやつらだよ」


「病院に…来てた…」


「あぁ…。お前…あいつらに…何か言ったんじゃねーのか?」


「へ?」


「俺が病院に行った時、部屋の外で大泣きしてたぜ?」


「……覚えてねーよ…。気が…動転して…」



その二人は、怯えたような、心配するような目であたふたしていた。


「あいつら……いつもあんな…怯えてたのか?」


「んなわけねーだろ。銀さんだの銀ちゃんだの言って 3人でギャーギャー歩いてたよ。心配しすぎて死にそうな顔してる」



なら、あの様子じゃぁ…相当酷いことを言ってしまったようだ。



「あいつらの…名前は?」


「眼鏡が…新八でチャイナが神楽」



それを聞いて、ゆっくりと新八と神楽に近づいく。


二人は目を丸くして俺を見上げた。



「あ、のさ…俺が…悪かった。思い出したから、もう心配すんな。ちょっと、土方と飲んで来るから……」



この話し方でいいのか、こうやって接していたのか わからない。


わからないけど、こいつらが俺を心配してるなら、安心させる方法はこれ以外見つからない。


左右の手で小さい頭を撫でてやると、突然二人が飛び付いてきて、バランスが崩され、地面に倒された。



「ちょっ、重っ」


倒れても、離さない二人。


「…お前ら、そんなに心配して…」


両肩にあるそれぞれ顔が、着物を濡らしているのを感じる。


沈黙の後、神楽の方が口を開いて何か言った。



「ぎ……ちゃん……、無理しなくていいネ」


む…り?


「銀さん…思い出した…なんて嘘でしょう?」



あ、


嘘が、通じなかった。


「なんで…」


「どれだけ一緒に居ると思ってんですか…?」


「……ごめん………」


「謝るくらいなら…はやく…帰って来てください…」


「あぁ……ごめん……」


「待ってるから」


「うん…」




また、こいつらも愛おしいと感じる。




そして、疑わしくもある。




だって、思い出せないから。



「ごめんな…」



しばらく、地面に倒されたまま、上に乗る二人の頭を撫でた。








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