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何を理由に泣いているかはわからない。
ただ、溢れている。


嘘吐き


そう、決め付ければ楽なのだろうが、それができない。
何故か。

それはわからない。
ただ、そう言ってしまうと、俺が。
裏切ったような気がして。


頭を振りきり、切り替える。
すっかり冷えた身体をその辺にあった誰のものかわからない着物を羽織り、風呂場をでる。

そして、台所に入り甘味を探す。

直ぐに金平糖が見つかったので、それをひたすら口に駆け込む。

口の中でもごもごと動かす。
もうないので又探す。

しかし、それ以上見つからず落胆する。





『金平糖は初めてですか』

金平糖を必死に食べる俺を見て言う。
俺は頷き、食べ始める。

『では銀時のために、たくさん買わなくてはいけませんね』
『うん』





嗚呼、今思えば全てが先生の思い出じゃないか。
剣も、好きなものも、月も空も。


「銀時ー。帰っているのかー?」

「銀時ぃ?返事しやがれ」





ほら、こいつらだって




「いるよ!!!!」





その嘘吐きが残したものは

あまりにも大切なものだった。

俺はそれを護る勇気なんてない。



『みんなを護れる人になるんですよ』

『うん』


嘘吐きはいったい

誰だったか――――



【END】






―――――――

霞澪様よりいただきました!

松陽先生との約束に対する銀さんの悲しみですね… とても感動いたしました(w_-)
なぜ失わなければならなかったのか、銀さんの苦悩が見えますね…←


霞澪様 素敵な小説をありがとうございましたm(__)m





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