取り残された思い。




思い出したくもない 昨日の記憶。真選組という1人にイかされた。


気がついた時には、もう姿はなかった。


なんなんだアイツは…

今わかったことは、俺は記憶がないこと。

部屋の暦表には、俺が知る時から4年が過ぎていた。

わからないのは、あの男はなんなのか。真選組。医者はそいつらが俺たちの敵だと言った。
あいつも真選組らしい。


何が正しいのかわからない。


調べるしかない。


道行く人に真選組の居場所を聞いてたどり着いたのは、夜中の2時だった。

寝込みを狙うのは嫌いだ。だけど、仕方ない。


中へは簡単に入ることができた。アイツの部屋はどこだろうか。


「あれ?万事屋の旦那じゃないですかぃ」

「?!」


突然、暗闇の中から声がして驚いた。

顔はよく見えない。

誰だ?

万事屋?


「土方さんなら部屋ですぜ?」

「!!」

土方……そういえばアイツはそう名乗った気がする。


なぜ土方が目的かわかったのだろうか。


「部屋はどこにある?」

「なに言ってんですかぃ?そこの廊下の角を曲がった3番目でしょ…旦那…あんた…」

「わかった」


構ってる暇はないんだった。


言われた通りに進み、襖を開けると、土方とかいうやつがいた。


俺は すぐに床に置かれた刀を拾い、土方の上に馬乗りになって刀首に突きつける。
これでこいつは動けない。

「おぃ、起きろ」


土方はゆっくり目を開け、刀を突きつけられてるのに随分余裕だった。


「何個か質問するから答えろ。答えなかったり、嘘を言ったら殺す」

「……なんだいきなり」


状況がわかってるのか?と言いたいくらいの眠そうな態度。イライラする。


「高杉は…生きてるのか?」

「……、あぁ」

「他の攘夷の連中は…どうなった?」

「主だった連中は殺された。今活動してるやつもいる」

「…………お前らがそいつらを斬るのが仕事ってのは…本当か…?」

「あぁ。高杉も桂も、いずれ斬る。攘夷派は斬らなきゃならねーからな」

「やっぱりお前は俺たちの敵か……」

「いや。お前は攘夷とも高杉とも縁を切ってる。だが…このままじゃ斬らなきゃならねー」

「お前は俺のなんだ?」

「……そんなもん、自分で思い出せ」


信じられない。

わけがわからない。


「なぁ、銀時…… 俺殺すんだろ?はやく殺せよ」


土方の右手が俺の頬を撫でる。体が動かない。

それに気づいたように、1度溜め息を吐いて、左手で刀を自分から押し離した。


「お前が殺さないなら俺がお前を殺す」

「なにを……」


土方は 自分の着物から何かを出した。

小さいチョコレートのように見える。おおかた毒入りとかだろ。

それをビニールから取り出して 唇に押し付けてきた。必死に口を閉じる。


「やっぱり食わねーか…」


あたりまえだバカヤロー。誰が毒とわかって食うか!!

すると土方は 有り得ないことに それを自分の口の中に入れた。

そして、毒入りじゃないのか、と驚いて油断した俺の首に腕を回し、噛みつくようなキスをした。


「ん、………ん、………」


土方の口から溶け出したチョコレートが流されてくる。

甘い甘いチョコレートだ。

必死に抵抗しても 次第にその甘さと、土方のキスの上手さにのまれ、喉を通してしまった。


1度通すと なぜか止まらないその甘さに、気がつけば自分から舌を絡ませていて、急いで体を突き放した。








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