甘い時を
酔った。
頭がぼーっとして、うまく頭が働かない。土方が隣に伏せて寝てるのが見えて、店の親父が身体を揺すって起こそうとしてた。
閉店だってさ。横に寝てられるのもうざったいから俺もお手伝い。
「おぃ、へーてんですよお兄さん」
やっともぞもぞと起きて、こっちを見て怖い顔。
「なんでてめぇが此処にいんだよ」
「あぁ?こっちのセリフだコノヤロー!閉店なんだよ!帰れバカマヨ!」
「いや、閉店ならお前も帰れよ!」
「あ、…お、お前が先に出てけよ!お前が帰った後で俺は帰るんだよ」
「ふざけんな。お前が先に出てけよ」
そうやって喧嘩になって、親父に怒られて、で、どうなったんだろう。
突然頭の上から冷たい水が降ってきて一気に酔いが覚めて辺りを見回す。
知らないシャワールーム。だけど此処がどこか何となくわかる。どうせまた土方と来たんだろ?そんだけ。いっつも起きたら土方が隣に寝てて腰が物凄く痛い。今日はそんな目にあわずに済む。そんだけ。
とりあえず 置いてあるシャンプーとかボディソープで洗って済ませ、部屋に戻るとベッドの上で土方がタバコを吸っていた。
そういえば やる前に覚めるの初めてだ。タバコを吸う土方は顔が真っ赤とかなくて、酔ってんのか酔ってないのかわからない。
「土方」
聞こえてない。
無視して帰ろうにもそれは酷すぎる気がして、近くに寄って大声で叫んだ。
「おぃ!俺帰るからな!」
得にうるさいとか言わずに、ゆっくりと土方がこちらを向いた。
「なんだ?」
「帰る。今日は酔いが覚めたからしねぇよ」
「なんでだ?」
「いや、酔いが覚めたんだって!」
「銀時…」
土方の手が、俺の着物の裾に入り、いやらしく腕から指の先までゆっくりと滑って手を握る。
「っ、なにすんだよ」
「帰るなよ」
「はぁ…?ちょっ!」
ちゅっと音を立てて手にキスをされて 顔が熱くなった。それを見て土方はありえないくらい優しく笑った。
ありえない。
ゆっくりと立ち上がりギュッて抱きしめて、土方は女を相手にしてるみたいに優しく頭を撫でる。
「土方、俺女じゃ…」
「銀時…」
わかってんのになんで止めないんだ?
いつもこんな風にしてるのだろうか。ふと頭にそんなことを思った。
「銀時…」
耳元で囁かれてゾワリとした。そのまま土方が耳たぶをはむはむ甘噛みしたり、舌を這わせたりして力が抜ける。
そのままベッドに倒されて、土方は俺の上に馬乗りになりながらもまた 耳を犯す。
「んっ、…それっ…ゃめ…」
土方の熱い息が直接かかる。
軽く手を添える力しか出なかったこど、土方はその動きに従って身体を離した。
「どうした?」
「だから、嫌なんだって言ってんだろ?」
「なんでだ?」
「はぁ?言葉わからねぇ?どんだけ酔ってんだよ!」
付き合ってられない。
とにかくこれ以上は嫌だ。
どけよ、と口に出しかけた瞬間、土方の膝が自身を押し上げてきて息が詰まった。
「嫌って言いながら…反応してるじゃねーかよ」
あぁ、なんなのこいつ…サイテー。
器用に下着を脱がせ、一瞬俺の上から離れると、今度は俺の脚を抱えて自分の肩に乗せた。
あまりのことに抵抗を忘れ、思い出した時にはもう遅い。
「お前のいいとこ沢山知ってるぜ?」
「おまっ!やめろ!」
「やめろやめろってうるさい。体勢変えただけでさっきよりデカくしてんじゃねーかよ…」
土方の顔が段々と近づけられて、俺の脚は肩から落ちて 脚を開くようになって恥ずかしくてまた顔が熱くなった。
土方の息が 睾丸にかかる。
これ以上はおかしくなりそうだから嫌だ。
でももう、止められないんじゃないか。酔ったふりをして流されてしまおうか。なんて馬鹿な考えが浮かんだ。
怖くなって小さな抵抗。身体を起こして土方の髪を掴んで顔をあげる。
何を言えばいいのか。
悩む俺の手を土方が掴む。
「そのまま見てろ」
愛おしいそうな顔をしていた気がするのは、気のせいだろうか。
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