3
「せんせ…」
冷え切った身体を横から抱きしめて必死に温める。
松陽先生の身体は思ったよりも細くて、折れてしまいそうだった。
連れ帰るにも足枷に何かついていて下手に何もできない。
先生、
「先生…さっき何に反応したの?」
答えてくれよ。
「先生、俺なら目の前にいる。高杉も桂も…今はここにいないけど…」
寒い。
冷たい。
怖い。
憎い。
これが、この国のやり方か。
戦争に出れば 松陽先生は帰ってくると言ったのに。
なぜ裏切る?なぜ天人へ渡す?
憎い。
「高杉と…桂は生きてるけど…合わせられない…。だって…あいつらが…今の先生を…見たら…」
天人も幕府もぶっ殺すだろうから。
「大丈夫だよ…。先生、そんなの…望まないんだろ…?」
大丈夫。
わかってる。
「せんせ…」
先生。
先生。
「なんか…しゃべってよ…」
いつの間にか流れた涙が、とまらなかった。
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