「せんせ…」


冷え切った身体を横から抱きしめて必死に温める。
松陽先生の身体は思ったよりも細くて、折れてしまいそうだった。


連れ帰るにも足枷に何かついていて下手に何もできない。



先生、



「先生…さっき何に反応したの?」



答えてくれよ。




「先生、俺なら目の前にいる。高杉も桂も…今はここにいないけど…」




寒い。



冷たい。



怖い。




憎い。




これが、この国のやり方か。

戦争に出れば 松陽先生は帰ってくると言ったのに。

なぜ裏切る?なぜ天人へ渡す?


憎い。




「高杉と…桂は生きてるけど…合わせられない…。だって…あいつらが…今の先生を…見たら…」




天人も幕府もぶっ殺すだろうから。




「大丈夫だよ…。先生、そんなの…望まないんだろ…?」




大丈夫。



わかってる。






「せんせ…」



先生。



先生。




「なんか…しゃべってよ…」





いつの間にか流れた涙が、とまらなかった。










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