ならば余計に貴方を…





土方が教えた場所。


それは焼失して以来、怖くていけなかった場所だった。




隣で小さな寝息が聞こえはじめてから身体をむくりと起こした。


もし、こいつがいうのが本当なら…。


朝まで待てるはずがない。


「土方、ごめんな」


我慢できないんだ。


なんとなくサラサラの髪を撫でると、クシュンと小さな嚔を出した。
ビックリして 思わず笑いそうになる。

こんなに布団をかけてても寒いのか?軟弱なやつ。
上からまた俺がかけていた布団をかければ少し苦しそうにしたけど気にしない。


起こさないように音を発てず着替えてゆっくり部屋を出る。

月明かりで火をつける必要なく馬がいる小屋に向かった。


高杉と桂に伝えようかと思ったが 部屋の明かりが消えていて、朝までには帰るからいいかと思ってスルーした。



高杉もズラも喜ぶだろうな。



はやる気持ちをそのままに 馬を加速させた。
辺りが白銀に染まる中、寒さによる手足や顔や傷口やなんかが痛むが気にしない。



松陽先生に会える。



まだ、間に合う。
後悔なんて後回しだ。


その場所は なんとなくわかった。
小さな裏山の小屋。
小屋と言っても敷地だけは無駄に広く、門まである。
でもあるのは小さな小屋だ。
昔行ったことがあった。


ガキの頃、よく遊んだ場所だ。


山の奥へ奥へ入ると、その門があった。



その門を開けると、そこには小さな小屋を守るのに不釣り合いの沢山の天人。


覚悟はしていた。

好都合だ。
戦争中なら警備は少ない?
なら、ここでやれば戦争に出る天人も減る。



「どけェエエエ!!」



片っ端から天人を殺す。
怪我で済ますことはできない。確実に殺さなければいけない。息もするのも忘れろ。




天人の警備は地下へと続いていた。



たった一人に随分な天人の数。


やっと最後の天人をやれたと思ったら、そこは地下だった。
昔はこんな場所なんてなかったのに。


整わない呼吸をそのままに、地下を進んで行く。



地下に掘られた部屋の扉を一つ一つ確認する。


「こいつは…」


そこには天人の大量の武器があった。


次の部屋も、その次の部屋も。
だからこんなに天人がいたのだと感じる。おそらく一個隊の物だろう。


本当にこんなところに先生がいるのだろうか。



だんだんと身体が冷え、逆に嫌な汗が流れた。



しかし、奥へ奥へ進んでいくと、声が聞こえた。














天人が、残ってたのかと思った。








でも、その声を辿って進んだ先には鉄の柱があった。




そこには、天人でなく 人間がいた。








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