さだめならば、
朝、目を覚ますと身体がずしりと重かった。
隣で寝ていた銀時の姿はなく、代わりに俺の上に銀時の分の布団がかかっていた。
昨晩、制服では寝苦しくだろうと借りた着物は薄く、布団ならいくらでもあると沢山かけられた上のこれ。
あいつなりの優しさか、なんて思ったら少し笑えた。
枕元に置いていた制服の代わりにまた別の着物が置いてあり、それに着替える。
今日のことを、高杉たちに伝えないといけない。
寺の中を探し回って、はじめに見つかったのは桂だった。
はじめになんと声をかけるか悩んだ。
「そこの者、皆に伝言を頼んでよいか?」
突然桂が俺を見て真剣に言う。
着物だからか俺を見て何も不審に思わないようだ。
「今日は銀時がいない。だから皆にいつもより気を引き締めるよう伝えておいてくれ」
「?、なんでそれを…」
「松陽先生の居場所がわかったんだ」
あぁ。
なんだ、銀時が伝えて行ったのか。
それならよかった。
「わかった。伝える。銀時の代わりに俺が出るのは聞いたか?」
「ん?聞いてはいない。見ない顔だから救護班の者だと思ったのだが…」
「あ、いや…そうじゃねんだ。新しく…入ったからな」
銀時のやつは俺のことは伝えてないようだった。
適当に答えると 桂は納得したように頷き、よろしく頼むと言った。
なぜ、わからなかったんだろう。
俺がそれに気がついたのは、戦争に出ようかという時。
桂と高杉が二人コソコソと話をしていて、桂と目が合い こっちに向かって来た。
「あっ!こいつは…」
「高杉、知っているのか?」
「昨日話したやつだよ。消えたからてっきり銀時が…」
「まぁ今はそんなことはいい。…銀時を見なかったか?」
「?銀時なら松陽先生のとこに行ったんだろ?」
「それはいつのことだ?」
「知らねぇ。朝起きたらいなかったし…。つか、あんたらのとこに来たんじゃないのか?」
「銀時は俺たちのところに来てない。むしろ探してんだよ」
「は?じゃぁなんでお前らが…」
「なぜ銀時が松陽先生の居場所を知っている?」
「は?」
「俺たちは銀時にそれを伝えてない」
意味がわからない。
銀時は俺から聞いて朝出て行った。
桂に松陽のことを伝えて。
でも桂と高杉は銀時は来てないと言う。
そして松陽の場所を知っていた。
高杉と桂は銀時にそれを知らせようと探している。
どういうことだ?
もし、桂と高杉が言うことが本当なら…。
銀時は、この日松陽に会うことになってた…?
嫌な予感がした。
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