5
急いで寺まで戻り、隊士に紛れて針と糸を受け取って川に戻る。
銀時は身体を拭き、着物を着て川原に座っていた。
「ほら、こっち来て脱げ」
「……わかったよ」
「麻酔ないからな…」
「ますい?んなもんお前の時代にあんの?」
「今の時代もあるだろうが!」
「ははっ」
水で洗い流され、傷口がはっきりした肩の傷をミスがないように縫う。
深い傷。
よくこんな状態で今まで動いてたもんだ。
同じくらいの傷で死んだ仲間を見た気がする。
大丈夫なのか?
いや、大丈夫だから俺の時代銀時がいる。
「銀時…」
「なんだ?」
「お前は死ぬのが怖くないんだな」
「何だ?勝手にキャラつくるなよ」
「傷つくことが怖くないみたいだ」
縫い終わり、制服をちぎって包帯代わりに巻いていく。
それまでずっと銀時は黙って、終わったと同時に口を開く。
「………お前さ…」
「土方だ」
「あぁ?ああ…土方は…俺を少しは知ってるんだよな」
「あぁ」
「俺…誰かと…一緒に暮らしてた?」
「あ?…あぁ、暮らしてた」
「大切そうにしてた?」
「まぁ、そうだな」
「なんか…大人というか…おっさんと飲みに行ってた?あんたとじゃなくて」
「誰がおっさんだ!!…まぁ、行ってたよ」
「なら、いいんだ…」
「…なにが…?」
「…それならいい」
「………いい?」
そう言って、銀時は立ち上がった。
「俺はさ、そのために生きてるんだ」
「どういう意味だ?」
なぜ、そんなに嬉しそうな顔をしてる?
誰かと暮らして、オッサンと飲みに行くことが 仲間よりも大事…?
いや、それが支えてるんだろう。
なぜ?
俺は、その向けられた銀時の笑顔が、怖いと思った。
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