長い沈黙の後、お互い血まみれなのをどうにかしようと銀時が言い出した。

桂たちを待たないのか聞くと、どーせズラならお前のこと見逃すよと言った。


「まっ、俺がズラならそうするって話だ。お前一人の命なんざ大したことないからな」


ははっと笑いながら、恐ろしいことを冷静に言う。


「…仲間以外はどーでもいいのかお前は…」


「仲間殺そうとするやつにまで考える必要あんの?」



銀時は、俺の知るのとは全く違った。
いや、これが本来、銀時が腹の中で抱えていたことなのかもしれない。


ここが過去なのか別のものなのか、なんだとしても驚きはしないが少しイライラした。



「それとも何?未来の俺はお前の手助けでもしてたわけ?」


「…してたって言ったら?」


金払えばだけどな。


銀時はその言葉を無視しながら真冬の森の中を進んでいく。

連れて来られたのは 氷が張りそうな程冷たい川だった。



「まさか…身体洗うってこれに入るのか?」


「他に何があるんだよ」


「いや、今真冬だぞ!!風呂沸かすとか…」



手間はかかるし俺たちも川で昔は身体を洗ってたが 真夏の話だ。さすがに真冬はない。

しかし銀時はその場で服を脱ぎはじめる。


「なにっ、」


馬鹿かと止めようとした声が喉でつっかえた。

着物に隠れ、現れた銀時の身体は、傷だらけ。

浅い傷もあれば深い傷も。

そんな様子は全く見せなかったのに。


「おぃそれっ!はやく手当しろよ!」


「包帯足りねーの。すぐ治るって」


「馬鹿か!」


「うるせーなぁ…別にいいだろ。寧ろ、お前は万々歳だろーが」


「未来ではお前は生きてるし、後遺症も傷跡もどこにもねぇ…。今痛いだけ無駄だ」


「んだそれ…裸まで見たってか?随分親しいじゃねーか。よっぽど仲がいいんだな」


苛立つわけでも馬鹿にするわけでもなく、冷静に言って服をすべて脱ぎ捨てた。


銀時は多分わかってない。
俺が攘夷戦争の参加者を片っ端から斬り殺すような軍団みたいなものの一部だと思ってるのか。

なんにしても、今の言葉から拷問の一つや二つしたんだろうと勘違いをしたに違いない。

それ以外確認する方法なんて考えられないだろう。


拷問。

確かにあれは拷問といえるかもしれない。


でも、正直俺はそんなつもりじゃなかった。



じゃぁ、なんだろう。



身体の相性?




それがいいだけで、




「仲、よくねぇよ…」




この言葉が、重くのしかかるのは何故だろう。



いや、自分の中でくらい嘘をつくのはやめようかーーーー。




「俺は…お前が攘夷戦争に参加してたことすら知らなかったんだ」


「は…?」





むなしい。





「意味わかんね…」


「俺もわかんねぇよ…。お前がなに考えてたのか」


「……」


「普通に会話したし成り行きで飲みにも行った」




無理矢理だろうがなんだろうが身体を重ねて、嫌だなんだ文句を言いながら家に入れてくれたんだ。



正直身体の関係以上を求めてるのかと、思ってた。



俺とあいつは考えが似通ってるんだから。




この気持ちが、愛だとしても、もう愛してくれとは言えない。


「知らねぇよ…俺はお前なんかよく知らない」



なら、問いたい。


もし、俺の言葉をすべてに信じたとして、俺がお前を抱いたらどんな気分なんだ?


必死に護ったやつらを斬って来たかもしれない。
拷問してきたかもしれない。
そんな腕に抱かれるたら……。


ザバザバと川に入る銀時に応急処置の道具をもらいに行くと告げる。銀時は適当な返事をして傷口の痛みを感じる様子も、水を冷たがる様子もなく、川に潜った。










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