死にゆくさだめ。
目が覚めたら 全く知らない場所にいた。
大使館の中ようなデカイ宮殿のような部屋のベッドの上に寝かされている。
なぜこんな場所にいるのか必死に思い出そうとしても頭が痛くて考えられない。なんで頭が痛いんだっけ。そう考えていたら 携帯が鳴り、みると総悟からだった。
「なんだ?」
『土方さーん。すいやせん。電池ないんで簡単に…』
「ぁ?やっぱお前か!ここどこだ」
『死んだら帰れますから早く死んでくだせー』
なんの冗談だ?一瞬悩んでつっこむ前に、電話が切れた。
何回電話してもでない。
しばらくすると どこにかけても通じなくなってしまった。
「どうなってんだ…?」
ここがどこかも 何が起きてるのかもわからない。
悩んでも仕方ないと 部屋の外に出て出口を探すと、廊下でバタリと天人と出くわした。
猫だかチーターだかわからない天人で 俺を見て目を丸くした。
よりによって天人とは、面倒なもんに出くわした。この建物の造りから大金持ちの人間か 天人か その両方かと思ったが、この天人と協生する人間はいないと思う。ここは多分、天人の何かだ。
「あそこの奥の部屋から出て来たんだが…」
そう言うと天人が 責任者か俺をここまで運んできたやつを呼んで、俺が礼を言って帰る。刀を返してもらうのは少し面倒かもしれない。そんくらいだと思った。
しかし天人は 大声をあげて仲間を呼び、俺を囲んだ。
「貴様!人間だな!」
「そりゃぁ見てわかるだろ」
「仲間はどこにいる!!言え!」
「仲間…?」
「とぼけるな!貴様!攘夷の人間だろ!」
「は?んなわけないだろ!俺は真選組だ!攘夷の連中と一緒にすんな」
「真選組?何をわからんことを言っている!」
真選組を知らないとは、たいしてお偉い所じゃないようだ。
数十人の天人が今にも襲いかかってきそうで、なんとかわかりやすいように説明する。
開国してしばらくしてできた 主に治安とか市民守る活動をしていること。攘夷の連中が敵であること。
必死に説明して やっと理解された決め手は なぜか携帯電話だった。
天人のつくった物を持っているのがそんなに珍しいことだったのか。
天人は俺に「もし、攘夷の連中を斬れと言ったら斬るのか?」と聞いてきた。
俺は、「言われなくても斬る」と答えた。
天人は難しい顔をした後、一瞬にやりと笑って、一人の天人に刀を取りに行かせて俺に返した。
数十人で囲んだまま、俺について来るように言った。
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