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5月5日。土方の誕生日。


ぶっちゃけちょっと楽しみだった。


土方が生まれた大切な日に、一緒に過ごすことが。


だから 我慢できなくて バカみたいに2ヶ月前からプレゼント買いに行って土方が喜びそうな物を用意した。


いつものタバコと、マヨネーズと、前に欲しいって言ってたマヨネーズの形した抱き枕とか。






バカみたいに、奮発して。





新八とか神楽に 軽蔑的な眼差しを向けられたけど 流した。






今日は、本人以上に楽しみにしてるみたいに 朝早く起きて ケーキを作った。マヨネーズを生クリーム代わりにして。

前に作って欲しいとか言われた時は「ケーキを汚すな」って言ってやったけど今日は特別だ。







土方は、約束よりはやく来た。






俺は、なんか照れくさくなって、平常心装って さりげなく出て行った。



「はやかったな」


俺がそう言うと土方は靴履いたまま家の中に入ってきて、




俺のことギュッて抱きしめて、






抱きしめたまま、俺に






最悪な言葉を吐いた。





「悪い…仕事が急に入って 行かなきゃならねんだ…」





来月まで、あえないって。






最悪だ。





最悪。





万事屋の下で、急かすように車のクラクションが鳴り響く。





こんなのって…。





無性にイライラしてきた。





土方にじゃない。自分に。




情けない。





情けなくて、『おめでとう』の言葉も、プレゼントも、渡せねーよ…。





そう思ったら、目が熱くなってきて、土方に八つ当たりだ。


顔を見られないように、土方の背中に回した腕に力を入れて。




「俺は別に…何も問題ないけど?」


「ぎん…」


「別に… お前が1人で過ごすなんて可哀想だから呼んだだけだからさ…」



うざったい涙を堪える代わりに、土方が落ち込むような言葉がどんどん溢れる。



嫌だ。



「つーか、電話でもよかったんじゃね?プレゼントなんて俺用意できねーのわかってんだろ?」




電話の方が良かった。




「誕生日に 好きなやつに触れねーなんて嫌だった」




電話の方が良かった。




「あっそ。もういいだろ?急いでんだろ?あんまりクラクション鳴らせてると ババアに殺されるぜ?」



電話だったら、まだ、怒ったふりして切ることも、平気なふりもできたのに……。





腕の力を抜いて、顔を見られる前に土方に背をむけて居間へ歩くと、あいつは「すまねぇ。また、連絡する」ともう1度謝って家を出て行った。





土方はさ。わかんねーのかな…?


ぬくもりを残された方が、余計に寂しいって。




帰ってきたら このケーキ無理やりにでも食わせて 財布が空になるまで奢らせてやるけど。






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