守か欲望か。
毎回、気になってた。
仕事がねぇ、金がねぇと豪語するアイツが毎回すれ違う度、大きな怪我をしたみたいに包帯をいつも巻いている、ということ。
傷の理由を聞けば、「依頼でちょっとな…」と1言しか答えない。
しかしそれは、もう見てみぬふりができなくなった。
地下都市吉原桃源郷。
取り締まれないことをいいことに 裏で散々なことをしているあの場所に、情報を聞き出せと上から指令が出た。
そして密偵である山崎が行った。
そして、気になる情報を耳にした。
吉原に手を出せなかった理由の1つになっていた 夜王が死んで 吉原に太陽が昇った、と。
そして、遊女の1人が話したらしい。
吉原に救世主が現れた。
倒したのは 百花じゃない。
子供2人と、
1人の侍。
銀髪の、救世主が太陽を取り戻す為闘った。
それ以上は教えてくれなかったらしい。
だが、俺たちにはわかる。そんなことをする ガキ2人連れた銀髪なんてアイツしかいない。
頭の中が、真っ白になる。
夜王だと…?
ただ、太陽を取り戻す為に、命をかけたってのか?
何かを守る為に、何かを守る為だと言って、アイツは夜兎の王と命がけで闘ったのか?
アイツは、他人の為なら 命が惜しくないのだろう。
駄目だ。
これ以上は、ほうっておけない。
「万事屋…警告だ。あんまり危険なことすんな…」
警告だ。
「警告だ?わざわざ屯所に連れ出して何かと思えばそれかよ…別に俺は犯罪なんて犯してねぇんだぜ?何で仕事のことを 一々お前に言われねぇといけねんだ?」
我慢できない。
「俺は…お前が傷つくのが気にいらねー」
「は?」
「俺は、お前に…惚れちまってる…」
「………冗談で言ってんだろ?」
「んな下らねー嘘つくかよ」
惚れてるから、もう我慢できないんだ。お前が傷つくことが。
銀時は俺の言葉に、気持ち悪がるわけでも、冗談に受け取るわけでもなく、
見たことのない冷たい目で言った。
「次、それ言ったら 殺してやるよ」
こいつは、多分本気で言ってる。
何かが、壊れていく。
銀時が俺たちを嫌ってることは知ってる。だが、さほど嫌ってるわけじゃないと思ってる。
違うのか?
わからねー。
その、恐ろしく冷たい目はなんだ?
「用事はそれだけか?なら俺、帰るわ」
通じない心。
こいつは止められない。
なら、
こいつが居なくなるなら、
こいつが傷つくくらいなら、
俺は、その前に こいつの自由を奪おう。
そうだ。閉じ込めて、俺のものにしてしまえばいい。
銀時は 俺のものだ。
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