V
口内に血の鉄くさい味がする。
可笑しい話だよ。
数十人の人間相手にボロボロだ。
ただ、刀を失っただけでこの様。
松陽先生の首を腹に抱えているのを見た途端、顔を青くして散った。
すべてが憎い。
目の前にまた先生の首を置いた。
「先生、俺には殺す力もないよ」
「あぁ、先生はそんなの嫌いだったよな…」
「先生、」
先生。
「でかくなったから、もしかしてわからねーか?俺……、…っ……銀時だよ……」
どうして、そんなになってんだ?
「高杉も桂も、……俺に負ける…けど……、たぶん……っ…先生……より……」
溢れて、とまらない。
「せん、せ……、」
どうして、先生がこんな目にあわされたんだ?
「死なないでって…いった…」
先生、
「あの日言ったの…嘘だからっ……」
あの日。
「先生のこと…… なにが、あっても嫌いになんか…なれないよ……」
「嘘だからっ!……だから、だから先生、安心して……帰ってきて…?」
ボロボロな先生。
戦争で死んだ仲間を何人も見たけど、これほど酷い死体は見たことがない。
「ごめんなさい」
何回も、先生とみんなと過ごす、先生の誕生日を思い浮かべて、毎年毎年、毎年毎年いい祝い方を考えてた。
あぁ、本当に全部嘘だ。
先生に恩を返してない。
死ぬのも、生温い気がするんだ。
end
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