V





台所の洗い物とかケーキとかプレゼントを片付けて部屋に戻ると、前に土方が渡してくれた携帯の光が点滅していた。


見れば着信歴が一件。相手はやっぱり土方だった。


ほっとこうか悩んだけど、また着信が鳴って、土方のことだから出るまで鳴らすだろうから出ることにした。



「なに?」


『何で出なかったんだよ』


「別に。ちょっと手元に置いてなかったからだよ」


『今日、本当に悪かった』


「だから…俺はなにも…」


『だったらお前、マヨネーズそんなに好きだったのか?』


「あぁ?!」


『今朝、眼鏡とチャイナが青い顔して来たぜ?』


「っ////」


『俺のせいでお前がマヨネーズ大量に買いだして 台所で嬉しそうにーーー』


「だぁあああ!!!!うるせーなぁ!!!!死ねよ!マジで死ねよ!!!」


『わかってんだよ』


「べ、別に…。お前が…可哀想だったから…俺は…。嬉しそうに、とか ちょっとお前がアホだった時のこと思い出して笑ってただけだし…!」


『そうか…』


「わかってんのか?なんだよ…嬉しそうな声しやがって」


『銀時』


「あぁ?」


『眼鏡とチャイナは 俺のとこには来てねーよ』


「なっ!」


『はぁー…。やっぱ何かあったんじゃねーか…』


「あっ、バカ!!ちげーよ!!あのー…あれだ!!」


そういえば新八も神楽もお妙のとこに行かせてたんだった。


まぁ、今気がついても遅いけど…


『ニヤニヤしながら、ねぇ…』


「…あー…くそっ…!なに?…文句ある?」


『本当に悪かったな…』


「もういいよ…。わかってんなら、今日作ったやつ帰ってくるまでとっとくから…ちゃんと食えよ」


『あぁ…』


「イタんでても…」


『あぁ…』


「それから、パフェ奢れよ」


『そのつもりだよ』


「じゃぁ、今日のこと許してやるよ」


『銀時』


「なに…?」


『愛してる』


「は、////…今1人じゃないんだろ?…恥ずかしいやつ」


『関係ねーよ お前は?』


「え?」


『お前はどうなんだ?』


「っ、言わなくてもわか、るだろ…////」


『毎回そう言うが、今日くらい言ってくれてもいいだろ?』



考えてみると、今までまともに 好きって言ってなかった。

でも 言えるわけない。

恥ずかしすぎる。



「そ、そういうのは 直接言ってやる」


『はぁ?』


「電話よりあって言いたいんだよ。だから はやく帰ってこいよな…」


『はぁー…。ほんと可愛いなお前…』


「うるせー」


『じゃ、そろそろ切る。連絡する時間ができたら 電話する』


「うん。でも、無理すんなよ?死んだら元も子もない」


『わかってるよ』


「うん」


『じゃ…』


「あっ!土方…」


『ん?』


「誕生日、おめでとう」




「生まれてきてくれて、ありがとう」




………………


…………




「…?ひじ…かた?」



返事がない。


切れたのかと思ったら、なんかズルズルという音が聴こえる。



『あ、あぁ…すまねぇ…。ありがとな…』


「あれ?土方くーん…もしかして泣いてる?」


『ばっ!!誰が!!もう切るぞ!』


「ははっ またな」


『じゃ またな』





電話を切って、気がつけば自分の口元が緩んでいることに気がついた。



もう、悲しかったとか、自分が情けなかったとかどうでもよくなる。




ただの電話で。




単純なのは、俺だったのかもしれない。




やっぱり、あいつにはかなわねーな…。





「あれ…?なんだ?」


携帯の画面に、【データフォルダーに保存しますか?】と表示が出てる。


保存?


何を?


よくわからずに 【はい】を選択してみると、データフォルダーには、さっきの電話の声が録音されていた。

土方の声だけ。

そういえば こんな機能があるとか言ってたっけ…

なんか変なボタンでも押したのだろう。



消そうと思ったけど、なんかもったいなくて やめておいた。








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