手作りは攻撃力高 *

2011/01/17 23:27





マヨネーズを片手に はやる手が勝手に動く。


いや、これはあいつの為とかじゃなくて………。

決してあいつが喜びそうとかなくて………。

ただ…毎日ケーキくれるんだからたまには何かしないと―みたいな優しい銀さんの思いやりであって……。


ケーキの甘い生地にマヨネーズをかけてその上にイチゴをのせた。
うわ…まずそ。


そうこうしてると、ガラガラと玄関の扉が開く音がして急いで駆け込むと土方が靴を脱いで入ってきた。


「入る時はなんか言えよ」

「ケーキ買ってきた」

「いや、そうじゃなくて…おじゃましますとか…まぁ、食べるけどねっ」


土方が買ってくるケーキはいつもうまいから好きだ。でも今日のケーキはいつものケーキ屋の箱じゃない。いつもは箱に何か書いてあるのに今日のは無地。

居間に行き 長椅子に土方を座らせて、台所からマヨケーキを運ぶ。


「おまっ…これ…」


それを見た土方はすっごく感激した様子。

見たことがないくらい嬉しそうにそれを見つめる。


やば…嬉しいかも。


「これ…お前が作ったのか?俺の為に…?」


「あ、……あー…いや」


思わず あぁ。と首を縦にふるとこだった。
なんかなんだか急に恥ずかしくなる。「駅前のケーキ屋で売ってた」と適当なことを言えば、土方は「ふーん。珍しいな」といった。

なんとかごまかせたようだ。


「いいから食えよマヨ方」

「あぁ。お前も食えよ」



いつものツッコミがない。
相当嬉しいのだろうか。フォークを持ちマヨケーキを口に入れる土方の様子を自然と目が追う。


「やべえ…うますぎ…」


あ、なんかきた。


自分でもわかるくらい どうしようもなく顔が綻んで、気づかれないように土方のケーキを口に入れる。


「うまっ」


今日のケーキもめっちゃうまい。


「土方、今日さ…やっぱりいつもの場所のケーキじゃないよな」

「あぁ…定休日とかで閉まってたから別のとこで買ったんだよ」

「へー…。じゃ、次からここで頼むわ」

「次って…」


なんだよ。ずーずーしい?いいじゃん銀さんだってちゃんとお礼したんだから。と言ってやる前にケーキのイチゴを口に入れる。

甘そうなイチゴ。今日のケーキに乗ったイチゴは薄い黄色のものがかかっている。多分カスタードクリームか?

でも 口にの中に広がる味は思っていた甘い味じゃない。

口の中で、イチゴの甘酸っぱさと何かが混ざる。


これ………


まさか、



「ひじ……」



顔を上げるて見れば、土方は真っ赤な顔をしてケーキを口に運んでいた。



真っ赤な顔して、口元を若干綻ばせながら。



あぁ…やばい…かなりやばい。



こいつ、多分作って来やがった。



普段料理なんて全然しないくせに。




「土方ぁ」


「なんだ?」


「これ、作ったやつに言っといてくれ」


「………なにを?」


「マヨネーズはイチゴにあいませんって。次からカスタードクリームにして」


「いや、さすがにカスタードクリームは作れねーってよ」



あぁ、全部手作りにしてくれようとしてくれちゃったわけな。


かなり愛しい恋人。





End



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